【県初の贈与型ソーラーパネルの導入が進む守山市】*1
将来世代に資産とエネルギーを受け継いでもらおうと、
守山市に10日、県内では初めてとなる「生前贈与型
出資」を取り入れた太陽光発電所が完成した。守山市
の河西幼稚園に完成したのは、「もりやま市民ソーラ
ー3号機」で、10日、関係者が出席して、発電所の
完成を祝った。
生前贈与型出資とは、太陽光発電事業への投資を目的
とした「信託受益権」を子や孫に贈与することで、償
還金や配当金を子や孫が受けられる。守山市では、今
回の「市民ソーラー3号機」には、市内在住もしくは
在勤の個人36人と企業2社から合わせて880万円
の出資があり、このうち、「生前贈与型」での出資に
は、10件の申し込みがあった。発電所は幼稚園の屋
根に114枚の太陽光パネルを設置し、年間2万4千
キロワットアワーを発電する見込みで、電力は、すべ
て関西電力に売電する。守山市では、今後も市民共同
発電所の設置を検討していきたいとのこと。
子や孫に、お金だけでなく環境に優しいエネルギーを
利用する社会を残したい??。東京電力福島第1原発事
故後の再生可能エネルギーに対する関心の高まりを背
景に、太陽光や風力発電に高齢者が出資し、売電収入
を子供や孫にプレゼントする「緑の贈与」という仕組
みが注目を集めている。その可能性と課題を探った。
●投資効果16兆円
「高齢者から現役世代への資産継承を促し、再生エネ
市場も拡大できる。原発への依存度を下げ、温室効果
ガス排出も減らせ、緑の贈与は、一石三鳥にも四鳥に
もなる」。地球環境戦略研究機関(IGES)*3の松尾
雄介主任研究員は語る。2010年に、緑の贈与を提
案し環境省の政策提言コンテストで優秀賞に選ばれた。
仕組みはこうだ。ある祖父母が初孫の誕生を機に、息
子夫婦に200万円を贈るとする。その際、現金を直
接譲るのではなく、太陽光発電事業に出資する。電力
会社から入る売電収入は息子夫婦か孫の口座に振り込
まれるようにする。クリーンエネルギーの普及に貢献
できると同時に、売電収入が20年近く毎年十数万円
ずつ振り込まれるため、孫が成人するころには資産が
引き継がれるというわけだ。
国内の60代以上世帯は2000万を超え、1500
兆円とされる個人金融資産の7割を占める。だが高齢
者は10年、20年先の買い物には二の足を踏みがち
だ。一方、現役世代は100万円単位の支出に余裕が
ないことが多い。緑の贈与は、投資後の償還金や分配
金の受取人を子や孫にすることで、高齢者からの投資
を促し、資金面で世代間の橋渡しを担う。
昨年7月、再生エネ発電を電力会社が固定価格で買い
取る制度が始まり、将来の事業収益が見通しやすくな
った。このため太陽光を中心に導入が加速しているが、
現状では主な出資者は法人。大規模普及のためには、
個人投資の広がりが不可欠だ。
生前の「贈与」と死後の「相続」マネーは国内で年間
30兆円規模にのぼる。松尾さんらの試算によると、
60代以上世帯の2割が平均400万円を緑の贈与に
振り向けた場合、再生エネに対する2016~30年
の追加投資額は計16兆円に達し、5060万キロワ
ット分の再生エネ発電設備が増設される見込みという。
石油や天然ガスなど化石燃料の輸入額は約3兆円削減
き、二酸化炭素の排出量も2億9000万トン減らせ
る計算だ。
エネルギー問題に詳しい植田和弘・京都大教授(環境
経済学)は「持続可能な発展には世代間連帯が大事。
次の世代に良い環境を残したいという高齢者の感覚に
うまく訴えられれば、銀行に眠ったままの資産の活用
先として広がる可能性は高い」と期待する。
【エピソード】
元菅直人首相は、「日々のエコカンハウス報告」*8のブロ
グで次のように語っている。
エコカンハウスに引っ越して3か月、ようやく太陽光
発電の状況が理解できるようになった。数値は見える
化のための「ECOマネシステム」で、電力会社の検針し
た数値ではないが、全体像は理解できる。
我が家、つまり、エコカンハウスの5月の太陽光発電量
は863kwh。100万kwの原発が稼働率60%で発電する月平
均発電量が
100万kw×30日×24h×0.6(稼働率)=43200万kwh
だから
43200万kwh÷863kwh=50万
つまりエコカンハウスは100万kwの原発の約50万分の一
を発電した計算だ。逆に言えば50万戸の住宅が同様に
発電したら原発一基分になるということだ。
メガソーラを含めエコカンハウス2000万戸分発電すれ
ば原発40基分で、それだけでも原発は不要だ。料金換
算でも検針日の関係などで正確には言えないが、5月
分として支払う電力料金とガス料金を併せた金額より
も受け取る販売電力料金のほうが大きくなりそうだ。
その通りで、すでにわたしの運営する環境工学研究所
WEEFの個人ブログサイトでその試算を掲載してい
る。高性能のポストメガソーラで十分賄えるのと、さ
らには、『オールソーラーシステム』として、超概算
で、120兆円世界市場との試算を掲載している。守山市
民による太陽光発電の普及運動が、順調に全国展開
(PFI運動なども含め)で成功を収めれば存外、エネル
ギー×経済×環境の“脱3Eのトリレンマ”は早く解
決できるのではと期待している。
【脚注及びリンク】
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1.「資産やエネルギーを子や孫に」2013.09.10 BBC
2.「緑の贈与:注目集める 再生エネルギーに高齢者が
出資、収入を子や孫に」2013.07.19 毎日新聞
3. 地球環境戦略研究機関(IGES)
4.「アースソーラー (もりやま市民ソーラー 1号機)
について」トランスバリュー金銭信託サービス
5.「アースソーラー (もりやま市民ソーラー 2号機)
について」トランスバリュー金銭信託サービス
6.「アースソーラー (もりやま市民ソーラー 3号機)
について」トランスバリュー金銭信託サービス
7.「守山中に市民共同太陽光発電1号機」2013.03.26
読売新聞
8.エコカンハウス報告、2013.06.06
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