Hidenori Nodera 野寺秀徳『輝く路の上で』

SHIMANO Racing野寺監督のブログ

経験値UP

2012-07-13 08:31:59 | インポート

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ヨーロッパに渡り、バタバタな日々が続いておりましたが、ようやく落ち着ける時間が作れるようになりました。

私が海外生活に慣れていると思われる方もいるようですが、実際にはそんな事は一切ありません。

田舎町に生まれ育ち、いわゆる‘外人さん’は宇宙人を見る確立とそう変わらないように感じていた幼少時代の私。

一生のうち飛行機に乗る機会も殆ど無いだろうと思っていた私にとって、他国の語学も文化も関係の無いものと感じていたので、勉強なども疎かに(そうでなくても勉強は苦手ですが)。

両親に自転車を買ってもらい、自転車に乗って友達の家に遊びに行き、自転車に乗ること自体が遊びになり、いつしかその遊びがエスカレートして競争の道具として自転車と関わっていた私。

生活の中に常にあったその乗り物は、いつしか私を遠い遠い、私の人生とは無関係と思われた異国の地まで運んできてくれました。

と、なんとなくロマンチックに書きましたが、異国の地まで来てしまったらそりゃもう大変です。

宇宙語…いや、英語は話せないし、文化も知らない。選手の時は競技に関するコミュニケーションさえ取れれば何とか生活できていたけど今はそうは行きません。

宿の予約にレースのエントリー、現地スタッフとのやり取りやトラブルがあれば警察にだって行きます。

ただでさえ、レース活動に関するさまざまなコミュニケーションは緊張を強いられますが、語学が不自由である私にとって、そのプレッシャーは半端なものではありません。

できれば一生経験したくないしたくない、耐え難く逃げ出したいほどの重圧を感じます。

が、なぜそれをするかと言うと、立場上やら無くてはいけない、と言うことも実はあります。がしかし、それ以上に一歩を踏み出して何かを得たいと思う気持ちが大きいからに違いありません。

思えば学生時代、ナショナルチームのジャージを着てイタリア遠征に行かないか、と現チームNIPPOの大門監督に誘われた時は恐怖心でいっぱいでした。海外に行った経験が無く、遠征を共にする他のメンバーは、私には到底肩を並べることができないエリート選手に思え、何故声を掛けて頂けたのかも解らない状況でした。

しかし、憧れのナショナルジャージに袖を通すチャンスに、実力不足で怒られる覚悟(もちろん全力で走る覚悟)で参加をお願いした事を覚えています。

その時の経験は自分の無力さを思い知らされる結果となりましたが『またこの場に挑戦したい』と、大きく目標を拡大てくれた事も事実です。

その後、シマノレーシングに加入するときも、イタリアのプロチームに入るときも、さらには一つ一つのレースでエース等を任された時も、気の小さい私にとって期待よりもはるかに大きい恐怖心がありました。チームのキャプテンや監督を任命されたときも同様です。

潰されそうになる気持ちを無視し足を踏み出す事が、大きな財産になる事を知ることができたからこそ、そうしているのだと思います。

もちろんそれらは自分の力だけでは到底できなかった事、多くの方々の後押しがあったからこそです。

だからこそ、辛いことを含め感謝しながら経験を積んでいかなくてはいけないと思っています。

昨年、監督として初のヨーロッパ遠征はリラックスできる瞬間など殆ど無かった気がします。もちろん今回の遠征でも大変な事は多々ありますが、昨年よりも色々な事が少しづつ見えているようにも感じます。

語学は相変わらず不慣れで、対話する相手に迷惑を掛けること多いですが、昨年に比べ圧倒的に伝えたいことが伝えられる気もします。

私の語学力はそれほど上達していると思えません、と言うことは『野寺語』がワールドワイドに浸透してきたに違いありません。笑
身振り手振り&顔の表現力が向上したのかも…。

と、言うことで日々、人様に迷惑を掛けながら経験値をUPさせていただいております。

人様の為にその経験値を使えるようになりたいものですね・・・無理かな。

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車のナビ任せに地球のどの辺りを走っているかも理解していない状況(ベルギー・リエージュでした)で、以前のチームメート、フローリスに遭遇。私にとって地球がとても小さい場所に思えた瞬間です。『ワタシ、ウチュウジンジャアーリマセーン』とは言っていませんでした。

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日本祭りの風物詩と思っていた『りんご飴』をベルギーの移動遊園地で発見し興奮するメンバー。西洋の食べ物だったのですか?

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共同生活も貴重な経験です。

コメント (2)
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