学歴をかなぐり捨て、勝負の世界に挑む若武者。
切れ味ある頭脳と、動じない心を兼ね備えた職人肌の男。
一たび目標に向かへば、その信念は崩れない。
彼が不意に立ち上がった。その先にあったものとは。
「やっぱ間食はあんこ系ですよ。あんこけい。」
あんこか・・・
山頂を見据えれば、その背中を追随できるライバルは皆無。
孤高のクライマーが纏うオーラは漆黒の登り龍。
無敵のはずの彼が一瞬見せた不安。
「やっべぇ。ゴーヤ定食と、ソバ大盛は多すぎじゃね?」
注文、欲張りすぎていた・・・
その、類まれな走りのセンスで、数々のゴールを物にしてきた男。
普段、穏やかな物腰の中、
不意に見せる鋭い視線の先に、何が見えているのだろう。
「あ、ごめ~ぇん。ボケてた!」
何も見えていなかった・・・。
進み続ける彼の走りに妥協は無い。
止まらない彼の哲学に妥協は無い。
レースへ飛び立つ空港の待ち時間。
彼が未来を見据えて思うものは・・・
「やっぱ沖縄行ったらチャンプルーちゃうかなぁ。早く食べたいわぁ。」
食べ物のことだった・・・
*全てフクションですが、ま、そんなもんです。