



























先週末のレースにて。
シマノレーシングの中井唯晶が勝利しました。
チームメイトだからという事はもちろんですが、若い選手の活躍はチームの壁を越えてポジティブな感情を抱かせてくれます。
ベテラン選手が見せる素晴らしい走りはもちろんですが、それをも脅かし業界を活性化させる新星の登場を、私たちは常に待ち望んでいます。
彼の勝利は最終到達点では無いはずです。
一つのステップを踏み登った事により、高く遠い世界が以前より少しだけ近くに見えるようになったに過ぎません。
しかし、『少しだけ見えるようになった』景色は彼を更に強く突き動かすほど、光に満ちたものであったはず。
勝利の喜びは他に代えがたいもの。
競技者であればだれもが追い求める感覚です。
更なる飛躍を期待しています。
が。
進む未来もブログタイトルも自分で決定するものさ。
「ツアー・オブ・ジャパン」「ツール・ド・熊野」2週間にまたがり計12日間のレースをこなす期間が終了しました。
そのための準備等を含めると、もう随分と休めていなかった事で選手はもちろん、チームスタッフとして動いていた私も身体は想像以上に疲労しているようです。
昨日はお休みを頂き休養に専念しようと考えていたのですが、この2週間ほぼ毎日、朝5時半の起床から深夜の入眠まで身体と(のろまながら)思考を全力で働かせていたことが習慣になってしまったか、せっかくの休みなのにきっちり朝5時半に目が覚めてしまいました。
もちろん、外で忙しかった分、家でもやらなくてはいけない事はたくさんあるので、折角だから片づけてしまおうと思い立ち、朝食の後に早速取りかかろうとしました、が、身体と思考が全く働きません。
もしかしてまだ多少寝られるかな?
と思い立ち布団に入るとあっという間に寝てしまい、そして数十分後に何かに追われるようにハッと飛び起き、また活動しようとして、できず、今度は2時間寝てしまい、飛び起き・・・。
というリズムが段々伸びてゆき最終的に熟睡から覚めたのは夕方16時前でした。
休めば休むほど自らの疲労度の大きさを理解して、興奮から解放されてゆくような感覚です。
この感覚、頻繁ではないものの選手の時にもありました。
運動選手は真面目に取り組むほど、「休養」というレベルアップに不可欠な要素を無視してしまいがち。
目標とするイベントの日時が近づくにつれ、自らの疲労蓄積をようやく理解してゆき、いざ本当に休息が必要と気が付いた時には本番前のトレーニング~超回復のプロセスをこなす時間が不足していることに気付く。
なんて事はよくあることです。
しかし「手遅れ」と気づいた時に絶望感を抱え続けるか、その状況で最善と思える術を見出す努力ができるか、いずれかで可能性は大きく変化することも私は経験しています。
もちろん良い結果を生み出すのは後者と考えています。
絶望感は脱力感に変化し身体能力の向上はおろか、緊張感や集中力を失い、戦う事に必要な脳内物質の分泌すら抑制してしまう事は容易に想像されますからね。
まるで、私を含む少数が後者のようにポジティブに思考を変えられるように書いてしまいましたが、現チームメイトやそのレベルに居るライバルチームの選手のほとんどは出来ているのでは、と考えています。
だからこそ、こんなにハードな活動を続ける事ができるのでしょうから。
がしかし、忘れてはいけません、手遅れになる前に
「戦略的に休養を取る事は最重要事項の一つです」。
と、強調したのは、ちーとも休もうとしなかった自分に言い聞かせたかったから。
遠征中、異動後の宿の部屋に用事で立ち寄ると、あまりの疲労に『5分だけ』と倒れ込むように伏せるのですが、5分後の行動開始時には起き上がる前、気合いを入れる意味で無駄に腕立て50回から活動を再開してしまっていた私。
5分の休息の後に、何故かそれ以上の負荷を自らにかけてしまう。
もはや何かの病気です。
でもあれです、身体的な活動により、思考的なストレスを軽減する術は、思考がもろく身体を動かすことが得意な私にとっては有効なのかもしれません。
ということで、次回は遠征期間中におとずれた思考の限界とバランスを取るため、身体の限界を引き出すべく山頂を目指して走り出してしまった話でも。
なんのことだか。
※本日、久しぶりにマッサージを受けました。先生も驚くカチコチ具合。身体を動かくことが得意、と思い続けているといつか痛い目にあいそうです。。。
ツアー・オブ・ジャパンが終了しました。
8日間、連日ハードなレースで選手もスタッフも消耗しきった状態です。
Photo:Satoru Kato (http://www.cyclowired.jp/)
Photo:Satoru Kato (http://www.cyclowired.jp/)
理想へ届かない事を知り失意の底に突き落とされても全力でゴールを目ざす。
そこに大きな危険がある事を知りながらも迷いを振り払い身を投じる。
それでも挑み続けるのは、彼らの持つ本能なのでしょうか。
確実に言える事は、彼らを取り巻くコミュニティーが大きなモチベーションへと繋がっているという事です。
今回、最終日の会場で交通誘導を行っていたスタッフの一人が
「お疲れ様です。大会期間中、ありがとうございました!大変だったけど終わってしまうのが名残惜しくて。」
と、感極まった表情で声をかけてくださりました。
レース前後の会場ではチーム関係者も神経質になっているので、彼らスタッフとのやり取りも快いものばかりではないかと思います。
てっきり、はやく帰りたいだろう、と思っていたそんな立場の方からの言葉に一瞬戸惑い、そして感謝の気持ちが湧きあがりました。
様々な形で声援をくださるファンの皆さまはもちろん、家族、スポンサー、チームや大会関係者の思いも、選手やチームのモチベーションに大きく関係しているのでしょうね。
立場を超えた感情の共有が強く出来る場所、それがスポーツの現場なのかもしれません。
Photo:Satoru Kato (http://www.cyclowired.jp/)
南信州ステージ、スタート前の写真です。
厳しいコースで行われる山岳ステージに、選手は大きな恐怖心を持ち合わせていたはずです。
が、何やら笑いが起きているではありませんか。
しかも私の言動に原因がありそうな場面です。
監督として、なんと不謹慎。
とも言われてしまいそうですし、たまに反省する要素でもあります。
しかし、確実にせまるストレスの嵐の中に身を投じる前に、共に笑う事で感情を共有する事は、一つの目的に向かう上でとても有効なのではないか。
と、自己正当化も含め本気で考える今日この頃。笑
photo:Makoto Ayano(http://www.cyclowired.jp/)
とにかく、選手は次なる目標に視線を移しました。
勝利を分かち合うために。
皆さま、TOJでの声援ありがとうございました。