虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

今年一番泣けたのは

2007年12月16日 | エンタテインメント
またしても眼の奥がずきずきするようになって、モニターを見るのがつらい毎日になってます。でも、税金仕事からは逃げられなくて、なかなかここの更新に至らず、後ろめたく思っております。

 というわけで、12月半ばとなりましたし、この状況ではこの次の更新が何時になるか自信ないので今年の総括をそろそろと思います。

 新作映画はろくに見られませんで、ほとんど家でDVDを見るばかりでした。
 数少ない中で一番楽しかった映画は「ヘアスプレー」でありました。
 あれも見たかった、これも見たかったと、公開された映画のタイトル見ただけでため息出ちゃいますが、こういう時期もきっとあるんだろうと、まあこれからに期待を持つことにします。

 今年の夏からは私自身の身体が不調のせいでしょうか、やたら「ナマモノ」が見たくなりました。でもお金ないので近所の青少年センターとか公会堂の地元向けの安い演劇や演奏会に通っていました。
 スターが出演してセットも素晴らしい舞台にはかなわないところはありますが、素敵な舞台はいっぱいありました。

 しかし今年一番泣けたのは、なんとテレビで見た高校演劇コンクールの最優秀作でした。

 「躾~モウとくらした50日」岐阜農林高校演劇部

 脚本から部のオリジナル。これが素晴らしかった。
 「入りたくてこの高校へ入ったんじゃない」やる気のまるで無い女子高生が、子牛の世話をすることになる。はじめは渋々やっていたのが次第に愛情を持つようになり、一生懸命に世話をするが、もともとオスの牛は50日したら肉牛として売られていく運命、というお話。筋だけならありがちかもしれないが、主人公の造形も、彼女にかかわるサイドエピソードを担当する友人たちの状況設定、農業高校の現状の描写など、隅々まで「らしさ」を感じさせ、笑いをとりながらも、すべてがぶちあたる「自分ではどうにもならない現実の壁」のリアルさが迫ります。

 初めて情熱を注いだものを屠畜場に送った主人公にも、
 自分が継ぐはずだった酪農業を手放さざるを得ない友人も、
 獣医になりたくて勉強しているけれど、大学進学までの学力に手が届くかどうか…の友人にも
-特に解決は示されません。

 エンディングで主人公に送られるのは、応援のエール
 
 この長良の川に磨かれた君。
 金華の風、山田の上に吹きすさぶ。
 負けるな、負けるな、と吹きすさぶ。
 負けるな、負けるな、と吹きすさぶ。

がんばれ、ではなく 負けるな、のエールに思い切り泣きました。不確定な未来に立ち向かうために、不本意な現状に負けるものか、負けるな、という叫び、決意がこの面白くて切ない舞台を清々しい涙で締めくくってくれました。
(エールは正確に聞き取れてないかもしれません)

 高校演劇という場でこそ生まれた傑作ではないかと思います。
 8月の末に受賞作品の放送があったのですが、是非お正月にでも今一度あの感動を味あわせてくれないかしら~、と再放送を切に願うものであります。