虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

ローズ・イン・タイドランド(2005/イギリス、カナダ)

2007年11月18日 | 映画感想ら行
TIDELAND
監督: テリー・ギリアム
出演: ジョデル・フェルランド   ジェライザ=ローズ
   ジェフ・ブリッジス   パパ/ノア
   ジェニファー・ティリー    ママ/グンヒルド王妃
   ジャネット・マクティア   デル
   ブレンダン・フレッチャー   ディケンズ

 10歳の少女ジェライザ=ローズは両親が2人ともヤク中。母親が薬のために死んでしまうと、父親はジェライザ=ローズを連れて故郷へ向かう。辿り着いた父の実家は、テキサスの草原の中のボロい一軒家。そして父親もクスリを打ったまま動かなくなってしまう。ジェライザ=ローズは、頭だけのバービー人形たちと残される…。

 見終わってしばし声が出ない、という映画でありました。
 子どもの悲惨を絵に描いたような生活。ダニエル・キイスを読んでる時のような気分にも襲われます。無力感のような感じ。両親の都合よく使われ、首だけの人形と小さな世界を作り、現実を頭の中で少し書き換えながら生きている…実に悲惨でグロテスクでもローズにはこれ以外の選択肢がない。その彼女の世界を目の当たりに見せられ、凄惨にしてどこか実感のない現実が進行し、外の光は妙に明るく白々しい。
 一家の中で両親がはるか昔になくした世間知を担当しつつも、子どもとして周囲の愛情を強烈に求めるる余りにとんでもないところまで踏み込んでしまいそうになるのに、自分の見たものを正確に社会的に位置づけられない幼さとが同居している。現実ならあの子はとんでもなく薄汚れているだろうけれど、やはりむちゃくちゃ美少女。世界の狭さと子ども時代のイノセントがディケンズ相手の異様なキスやきわどい接触に異様なリアリティを与えるようで、もう背筋が凍る様だった。

 ギリアムらしいといえば、まったくその通りです。同年の「ブラザース・グリム」に比べれば全然納得です。
 ほんとに疲れました。