虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

トランスアメリカ(2005/アメリカ)

2007年03月05日 | 映画感想た行
TRANSAMERICA
監督: ダンカン・タッカー
出演: フェリシティ・ハフマン   ブリー
   ケヴィン・ゼガーズ   トビー
   フィオヌラ・フラナガン   エリザベス
   エリザベス・ペーニャ   マーガレット
   グレアム・グリーン   カルヴィン
   バート・ヤング    マレー
   キャリー・プレストン    シドニー

 性同一性障害のブリーが、ようやく肉体的にも女性になるための最後の手術に許可が下りた矢先、ニューヨークの拘置所から、トビーという17歳の少年が実の父親“スタンリー”を探しているというのだ。ブリーがまだスタンリーという男性だった時代に、ただ一度女性と関係を持ったときに出来た子どもがトビー。その子の存在と過去に立ち向かわなければ手術のためのサインをしないというセラピストに、ブリーは渋々子どもの引受人となる。

 なんというか、アメリカは懐が深いって認めざるを得ないです。こんな映画を作って、またそれを演じるほうも素晴らしい。
 女優がこの「女性になりたい男性」の役に、完璧な女装でもどこかに漂う不自然さを見事に表現してるんですものねえ!ただただ感心するばかり。ただ、女として生きるのが自然なのに男の肉体を持ってしまった悲しさをひたすらに感じてしまう。
 私はブリーに寄った立場で見ていたと思う。はじめは突然あらわれた子どもを養父に戻して安心しよう、この件を処理しようという意図がありありだったのが、トビーの辛い過去を知り、心が次第に寄り添っていく。ブリー自身が、自然に自分自身でいられない辛さを知りすぎている。なんとか彼に尊厳を持って生きていって欲しいと願ってしまう。
 しかし旅の途中で、コーティングしていたものが露になっていくのは、トビーだけでなく、ブリーも同様だった。
 それでも、一番胸が痛かったのはトビーがブリーに求婚したシーン。あれほど彼は孤独だったのだ。

 しみじみしながらもバート・ヤングについ、「わー、ドールズのヤングだあ!」と喜んでしまった私です。