虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

どろろ(2007/日本)

2007年01月31日 | 映画感想た行
監督: 塩田明彦
アクション監督: チン・シウトン
出演: 妻夫木聡   百鬼丸
    柴咲コウ   どろろ
    瑛太    多宝丸
   原田美枝子   百合
   中村嘉葎雄   琵琶法師
   原田芳雄    寿海
   中井貴一    醍醐景光

 戦乱の世、武将醍醐景光は、天下を手に入れる力と引き換えに、我が子の体48箇所を48体の魔物に差し出した。捨てられた赤ん坊・百鬼丸は呪い師寿海に拾われる。寿海は赤ん坊に作り物の体を与え、育てる。寿海の死後、己の身体を取り戻すために旅に出た百鬼丸は、こそ泥のどろろに出会う。

 はぁ…

 原作の「どろろ」は小学生の時に読んでそれ以来ですので、ほとんど忘れてます。
 それでも、なんとなく覚えていたこの主人公の怪しげで危うい生命の持つ不思議に絶対的な命の存在感というものを表現するのに、見る前に、主演の妻夫木聡の持つ「こぎれいさ」と、柴咲コウの「何をやっても柴咲コウ」なところが懸念材料だったわけですが… いつもおことわりしてしまいますが、これは批判でなくてそういうタイプの役者に見えるということです。
 まあ、原作からしてすごく凄惨なお話を手塚治虫の丸い描線が和らげていたような気もするので、こういうのもアリかな???
 以上は個人的な好みについての見解なので、それはそれで置いとくとして。

 これまたもう一息突っ込んでくれればっ!と思うのでした。
 愁嘆場が長いのです。そこで話が進んで百鬼丸やどろろの生い立ちやお話の説明になっているのですが、やっぱりちょっとテンポ悪い感じ。それにそこで柴咲コウが何時も同じ顔で泣いているのでそれも何とかならんかなあ…と。

 あえて日本の戦国という枠をはずしたんだから、もっと無国籍ワールドを突き詰めても良かったと思う。けれんを効かせて美しい画面では「プロミス」はさすがにチェン・カイコー監督でしたねえ。私は映画は荒唐無稽をねじ伏せる面白さがあったほうが好きなので、半ばで出てくる魔物退治シーンの躍動感や漫画っぽさがもっとあればいいのにと思ってしまった。アクション監督にチン・シウトンが参加してるんだし。
 お父さんにしても、わが子を魔物に売り渡して得た強さなんだから、もっと人間離れしてても良いんじゃないかと思う。

「あと24体」ということでしたら、続編の節は是非魔物を全部出して、バッタバッタとやってください。それに柴咲さんは、眉はもうちょっと野生的にげじげじ風味を加えたほうがどろろらしいかと…