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虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

未来のイヴ  リラダン著

2004年07月03日 | 
今日は、再来週のピアノ発表会のリハーサルの手伝い。
出番が済めば見てるだけで、テレビの3倍くらいスローテンポのドラえもんとか、たどたどしい「びっくりシンフォニー」のお子様メドレーを聞きながらリラダンの「未来のイヴ」読んでいました。

これは、恋した女性の持つ高雅な姿と裏腹の魂の卑俗に悩む青年貴族のために、発明家が恋人そっくりの人造人間を作る話です。結局のところ皮肉な結末になりますが。
今日は、逃げ場のない状況で1冊しか持たずに、その人造人間が作られるまでのところを丹念に読もうという計画でした。古典うんちくオンパレードで発明家を紹介する部分と、人造人間に姿を写した女性のどこが気に入らないか、を紹介する部分。
案の定眠くなった。やっぱりここを味わうのは私には無理みたい。というわけで後半は次回へ。

カント、ノーマン・メイラー、キューブリック

2004年07月01日 | 
別に、ムーア監督の「華氏911」の予習と言う意味ではないけど、カントの「永遠平和のために」それにコラムに書いたメイラーの本、パレスチナ関連、それにいわゆる戦争文学というものまで読んでおります。手を広げるととめどないですけど。

とりあえず思ったのは、負けた国と勝った国ではこうも違うのか、なんだよね。映画でも、アメリカではキューブリックの「フルメタル・ジャケット」以外で軍隊の非人間性をとことん描くって、ベトナム経験していても、あの「ディア・ハンター」でさえアメリカの論理への遠慮があるみたいだし。アメリカの愛国心というのはあからさまにあらわさないと安心できないのかなあ。まあ、素人の勝手な言い分なんですが。
負けた国だから言い易いことってのもあって、アメリカでまともに戦争忌避みたいなこと言ったら弱腰で義務から逃げる奴みたいに思われるのだろうか?

カントは批判三書をまともに読んでないのでなんか腰が引けてますが、「永遠平和のために」…日本国憲法9条の精神はこれでしょうね…それはそれとして、この世界がわれわれのためにあるべくして存在する、という確信にまず唸ってしまう。私は人間の存在は「幸運な偶然」だとどっかで思ってる。

Book Columnも書かなくちゃ

2004年06月22日 | 
本のほう、サボってばかりです。いいかげんやらなくちゃ、と気合を入れようとしてます。
これ書きたいなあ、と思っているのが今のところ
「ラーオ博士のサーカス」フィ二ー
「永遠平和のために」カント
「新トロイア物語」阿刀田高
以上3冊。
「ラーオ博士のサーカス」は長年の愛読書なので一度は書きたいな、なのです。へんてこりんで滑稽で妙にひっかかる本です。
「永遠平和のために」私もカントの批判シリーズはおそるおそる読み始め、さっさと挫折しましたが、この本(岩波文庫版)は薄いし、要件が箇条書きになっているので、頭整理しながら何とか食いついていけます。やっぱりわけのわかんないとこはあります。翻訳も決して親切じゃないと思う。でも永遠平和のための条件というのを、一つ一つ読んでいくたびに情なくなっちゃう。えらい人はたいてい、これ知ってるんだろうになあ。
「新トロイア物語」これは「トロイ」のために引っ張り出してきたが、ほんとにほんとに面白かった。ウェルギリウス読まなくても、トロイ戦争から、ローマ建国への流れがわかっちゃう!その上物語がたっぷりズッシリ味わえるお値打ちもの!
 というわけで、この3冊のBook Column、そのうちぼちぼちしか書けませんが今からでも是非!どれも読んで損はありません。

100均文庫その3

2004年06月01日 | 
でもって、下段には、語句解説まで入ってます。
それがなければ、そのままでは、
今の読者には通じないでしょうか?

折敷…に解説があるのは納得できます。
「蚤…ノミ科の昆虫の総称。体長2~3㎜で、哺乳類・鳥類に寄生し、血液を吸う。ペストなどの伝染病を媒介することがある。」
「むず痒い…ムズムズするように痒い」

こんなのほんとに要るんでしょうか?
なんだか中高生のサブテキストみたいです

いやしかし、サブテキストだってここまでのネタバラシを
しょっぱなにしますか?

100均文庫その2

2004年06月01日 | 
それでそれぞれの作品の頭に
右ページ 「この作品を読む前に」という読書ガイドみたいなの
左におもな登場人物が入ってます。

それで、例えば「鼻」だったら、
成立年と発表媒体
4行程度のあらすじ
それに

「鼻の長いことを気に病む禅智内倶はどんな性格の主人公か?
 なぜ周りのものは短くなった鼻の禅智内倶を笑ったのか?
 禅智内倶の鼻は結局どうなってしまうのか?」

…これから読むものの、未知のドキドキをどうしてくれるのっ?!

100均文庫

2004年06月01日 | 
最近の100均では
文庫の名作全集みたいなのまであるんですねえ。
つい買っちゃいましたが。
芥川の1です。ということは続々でてくるんですね、きっと。

収録作品は
鼻・芋粥・トロッコ・舞踏会・蜜柑・河童
それに巻頭の作品ゆかりの場所の写真と
巻末の年譜。
スタンダードです。

絵のない絵本/アンデルセン

2004年05月30日 | 
川崎芳隆訳 角川文庫版
初版昭和25年 昭和44年改版

子どものころに読んで好きだった本というのは
翻訳の場合、あらためて読んだ別訳が、
よほど良い訳でない限り、
はじめに読んだままの訳でないと違和感があって楽しめないことがある。

この本も、もうばらばらになりそうだが
新しい本できれいな文章で読んでみても
これでないと「なんか違う…」感がある。
かなと漢字の使い方もちょっと変な感じはするし
言葉も古めなんだけど、それがしっかり心に刷り込まれている。
昔読んでいた時は、好きな言葉に読み替えて読んでいた部分もそのとおりに甦ってきたりする。

これは月が見たものを画家に物語る形式。
一つ一つのお話がまさに一つの絵を浮かび上がらせてくる。
人生の喜び・哀しみ・輝き・安らぎ・悲惨・滑稽…
大人になったほうが楽しめます。

原色の街/吉行淳之介

2004年05月26日 | 
まだまだ虫干し月間で古い本の読み返しを続けている。
三島はちょっとお休み。
谷崎の「文章読本」吉行淳之介「原色の街・驟雨」(新潮文庫 初版昭和41年 昭和54年21刷)アンデルセン「絵のない絵本」など。

 吉行淳之介の「原色の街」は売春防止法以前の娼婦の町の物語。
 吉行淳之介もけっこう読んだ筈だけれど、あまり中身を覚えていない。でもこれを読んだ時のため息みたいな感覚は覚えている。
 主人公は自己破壊衝動があるとしか思えない娼婦。何か人間の心の底の苛立ちみたいなものを抱えてしまい、自分にとって負の結果しかもたらさないことがわかっていて、そういう行動をせずにはいられないよう。
 これは絶対私の感覚はシンクロしない、と思いつつ、この底の底まで自分で自分を引きずるみたいな衝動は人間に確かにあるんだろうか、どうしてこの人はそれから眼をそむけて生きられないんだろう、と考えてしまう。
 良家の子女で、感情・感性がまったくつるんとした、今の自分だけを大事に生きられる女性も登場する。肉体や感情の昂ぶりがあくまでその場限りのものであり、いつでも捨て去ることが出来る。そして精神に痕跡を留めない。娼婦的といえば、そちらのほうが娼婦的。吉行はそのどちらが男にとって好ましいとか、どっちが好きとか読者が判断出来るようには書かない。

 この中の風俗的な記録も貴重なものかもしれないが、読後に残るのは作者の暗くて鋭い眼差し。性描写も全然扇情的には感じないし。

三島由紀夫(3)

2004年05月23日 | 
これは直接本とは関係のない話題かも

気がついたら三島由紀夫のところに
トラックバックいただいておりまして
濃ゆい三島関連ページの紹介がありました。
私の一番「濃ゆい三島」体験というのは
映画「黒蜥蜴」(1968/日)です。
これは深作欣司監督、主演三輪明宏 木村功で
脚本が三島由紀夫なんですね。
それでもって確か三島が出演してるんです。
何かというと美青年の剥製の役で。
でもって、静止状態でなくてはいかんのに
ちょっとプルプルしたりして…
川津裕介も面白かったけれど、この映画は
三島のプルプルがまず記憶に残ってる。
なんたって見たのが高校生くらいの時だったから。

三島の美学にはまる映画だったんでしょうにね。

最近のミステリ・少女漫画

2004年05月14日 | 
4月・5月はいろいろお金がかかるので
よほど強烈に読みたいもの以外は買えず、
虫干し的に古い本の読み返しになる

箸休め的に読むのが、ミステリとコミック。
ミステリは定番宮部みゆきと、それに
20年位前の「気ままなプリマドンナ」(バーバラ・ホール)
が結構面白い。舞台が第1次大戦中のアメリカ。
実在のオペラ歌手が探偵役で、
カルーソー、トスカニーニなども登場。

コミックは、情報源が十代の女の子なので大人向けは知らない。
昨日の記事に引き続きになるけれど性描写がエスカレートしてる。
「覇王・愛人」というのを貸して貰った。
読んでいて壮絶に恥ずかしかった。
少女コミック連載で、やはり少女向けなのであるが、
普通の女の子があろうことか、マフィアの若いボスに愛されちゃうのだ。
話がもろにセックスがらみの展開ばっかりだし、
マフィアの凄腕ボスである男の子がどう見てもチンピラ程度のルックス(これは私の趣味も入った判断)
それでストーリーが性格のいい主人公に
敵対する強力な後ろ盾を持ったライバルあり
という伝統的妄想系少女漫画の系譜で
それにポルノとバイオレンスを足したみたいで
読んでいて、少女漫画もすごい世界に来てるんだなあ、
ついてけないわ、アタシも歳だわ、としみじみ。

乙女の夢・・・か?

2004年05月13日 | 
エヴァンゲリオン9巻も無事(?)読み終えました。
今度の帯には「カヲル降臨」です。
カヲル君は降臨するのか。
エヴァンゲリオンはカタストロフ後の地球の
日常の描きかたが結構面白い。
そこに至っても、一般人は真実からはブラインド状態で
それを選択しているようでもある。

最近は、「巨人の星」みたいな太々しい眉をしたような
少年漫画はほんとに少ないみたいで
絵だけでは、りぼん・なかよし・ピチレモン(これは恥ずかしい)
系の顔の半分以上眼という漫画とか
一部のマッスル系漫画みたいのを除いては
少女漫画も少年向けも差がないように思う。
中高生向けと思われる漫画でも平気でSEX描写過激だし。
もちろん名作も生まれてるけど、
大半が同工異曲なのはまあ漫画の宿命というものでしょうね。
その中でしぶとく生き残っているなあ、と感心するのが
ど~ってことない女の子が
とってもルックスも良くて出来もいい男の子に
とことん愛される「ありえねえ!」ストーリー。

昔、橋本治の「花咲く乙女たちのキンピラゴボウ」で
くらもちふさ子の「オトメチック漫画」を
「やさしいポルノグラフィー」と表現してあって
なんつー的確な形容だと唸った。
そうか、妄想だったのか。

で、今も妄想系花盛り。
教師と生徒の恋愛漫画も、人気みたいでずいぶん長く続いてた。
私は、先生にも、(20代の教師自体少なかった)
その逆3歳くらい年下の男子高校生の家庭教師もしたが、
そのどちらも異性に見えたことはない。向こうもそうだろうなあ。

三島由紀夫(2)

2004年05月13日 | 
4月からずっと虫干し月間、という感じで
古い本引っ張り出して読んでいる。
三島は
潮騒 金閣寺 美徳のよろめき
禁色 サド公爵夫人 十代小説集
と来ていよいよ豊穣の海に至っている。
これだけ読んでも彼の世界にすんなり入れなくて
ひっかかりつつ、突っ込みいれつつしか読めないというのは
よほど相性が悪いのだろうか。
例えば「春の海」では主人公の美少年清顕の友人・本多、彼のこだわる自然法とかヨーロッパの理性に対する一種若いゴーマンな挑戦認識部分はとっても馴染んでしまう。
でも飯沼は駄目。な~んでコイツは支離滅裂なんじゃ、狭い視野で屈折してはいかんぞ、とか思っちゃう。
松枝清顕については何もいえない。女性についても。
私の、芯からエンタテインメント大好きなところが、理解の障害になってるでしょうか。
一番好きなのは「サド公爵夫人」

三島由紀夫

2004年05月12日 | 
今、「豊饒の海」の一、「春の雪」読んでます。
去年「三島由紀夫とは何者だったのか」(橋本治著)
読んだのだけれど、まあ本を閉じた後
不消化部分の多いこと多いこと。
それで、少しづつ三島由紀夫読んでるんですけどね~
「美徳のよろめき」なんか、ほとんど冗談みたいだし
今の「春の雪」も、大正時代の華族社会が背景とはいえ
ただ目が丸くなっちゃうぞ、の世界。
いや、私庶民ですから、みたいに。
樋口一葉は、違和感ないのにねえ…
でも、三島読んで、「三島由紀夫とは…」
読むと実に頷けてしまいます。さすが。

シネマほらセット

2004年05月09日 | 
satoshiさんのサイトで先日話題になった本。
「こんな映画があったら」…という妄想映画館みたいなの。
ともかく楽しい本。

アントニオ・バンデラス、決まってる!
丹下左膳ばかりでなく、魔界転生の由井正雪…うわあ、見たい!
「くの一忍法帖」のヒューゴー・ウィーヴィング
…はまりすぎだわ!

で、この本の最後を飾るのが
「七人の侍 episode2 野武士の復讐」
野武士の首領の弟、サミュエル・L・ジャクソンが
仲間を集めて復讐にやって来る。
今度の首領はアル・パチーノ。

ほかのキャストは
志乃 アンヌ・パリロー (「ニキータ」の)
利吉 ジョン・マルコヴィッチ

はともかく
勘兵衛 ケヴィン・コスナー(え~)
七郎次 ダン・エイクロイド(まあまあかな)
勝四郎 ベン・アフレック (え~~~~~~~~!?)

勝四郎はねえ、まだトビー・マグワイアのほうが~~ 駄目?


ningyo's book column シネマほらセット

エデンの海 若杉慧

2004年05月05日 | 
 3度も、そのうち1度は山口百恵で映画になった小説。どれも見てないです。
 昭和21年から22年までの雑誌に連載されたもので、今度読んだのも昭和29年の角川文庫9版。人気あったみたい。
 女学校の中の異分子的な女の子と、若い独身男性教師の恋愛。今風に翻案すればいくらでもアレンジの仕方はあるだろうが、時代の気分のようなものは、いかんともしがたい。
 女の園の団体に向かって、若い男が「ぼくが好きになったこの子のように率直であれ」なんて言って、素直にみんなが聞くわけない。これが素直に書けるような気分が当時の開放感と変化の気運というものだったのだろうか。
 でも、絵になるシーンが多い。何度も映画化されているのも納得。
 裸馬に乗った断髪の少女。黒っぽい水着の団体の中で一人だけ純白の水着。健康的とエロティックでは、イメージとしてエロティックが勝ってしまう。私の発想が健康的ではないのかもしれない。それにヒロインがいくらむこうみず、率直と言っても目隠し状態では突っ走ったりせず慎重に動いて欲しいものです。

「エデンの海」というのも暗示的なタイトルではあります。しょせんは一時の楽園、安住の地ではないということでしょうか。

 ヒロインが島崎藤村の「新生」について感想を書き、特に藤村についてくそみそにけなしているが、それだけは実に大賛成。