二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

春のフーガ(ポエムNO.3-80)

2020年06月24日 | 俳句・短歌・詩集
   (風車 2018年7月)



心地よい春の風を背中にうけて
きみは緑の海を帆走する。
うねっていたり雨が降ったり
変わりやすい天気に翻弄されて。

絵のなかから抜け出した少年が
別な絵のなかの少女を手招きしている。
「さあ ぼくの隣りにおいで
いっしょに帆走しよう」と。

少年は心やさしい少女と手をたずさえ
ステンドグラスの透過光に染まる異国をめざす。
「ねえお腹すいたわ 一休みしましょう」
春はもう終わりかけている。

よしぼくも帆走しよう 帆走しよう
彼らのあとを追って。
老年から中年へ そして少年へ。
過ぎてきた歳月をさかのぼる 春のフーガ。

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