二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

モーツァルトのそら色(ポエムNO.3-95)

2020年07月19日 | 俳句・短歌・詩集
   (ニホンカワトンボ♂成熟種 2011年6月撮影)



悲しみや苦悩を水でうすめて
よろこびやお愉しみを水でうすめて
つまり世界を水でうすめて きみを水でうすめる。
なにもかもうすめてしまいたくなっている。

すると空のそら色が
指さきや足のほうから染みてくる。
草木染めで染めたように
きみの存在のそら色。

カワトンボがすいすい飛んでいる。
夏から秋へ
季節のかけらがころがってゆく
ああ あれはなんだろう

ころころころがっていくのはなんだろう?
空のそら色に染まった一日のへり
モーツァルトのなだらかな坂道をのぼりながら
きみは半透明の外套を着て空へと離陸し

半透明の外套を着て
すすい すーいすいと空を泳ぐ。
明日 なんてありはしない
・・・とモーツァルトがその秘密を打ち明けたんだ。

空のそら色
のなかを泳ぐ昆虫たち。
きみもその一匹となって
そら色の季節の端っこを愉しんじゃえ。

マミムメ モーツァルト 
・・・のそら色の空気の振動が一瞬一瞬を横切って 
永遠を横切って
いままさに十八世紀へと消えてゆく。

ああっ。



※ 昆虫図鑑
http://chigaku.ed.gifu-u.ac.jp/chigakuhp/html/kyo/seibutsu/doubutsu/01tonbo/index.html
トンボ(目)には多数の種類が登録されています。わたしの同定が正しいかどうかはわかりません(^^;)

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