「一匹の老いた狐がゆっくりと水を飲んでいる。
かつてもっていたベルギーの画家ブリューゲルの絵の右端で
あるいは ボードレールの詩の一行で
周辺に廃屋がやたらと目立つ沼のほとりで。
それを飲み終えたら 従容として死をうけいれるつもりなのだ。
伝説のヒナゲシや西風が好きな旅人に化けることはもうできず
やつは 自分に逃げ場がないことを知っている」
・・・と
そんな光景を ぼくは
憔悴しきった昨日の夢からたぐり寄せる。
その光景はつい最近の現実の経験であったようにとても鮮明なのだが
肝心なことに意味を欠いている。
狐が水を飲んでいる光景から
どんな意味の一束をつかみ出したらいいものか?
ぼくはことばを投げかけて
ぼく自身の反応を待っている。
窓の外をはげしい稲妻が走り
雷鳴が聞こえるまでの時間をはかる男のように。
そしてついに雷鳴は聞こえてこない。
やがて老いた狐はディスプレイに似た四角い空間をよろよろと横ぎって
リビングの壁の絵の中や
フロアに平積みされた書物の奥へと立ち去ってゆく。
昨日の夢は 食べることができなかった
少年時代のお菓子のように
ぼくの記憶の端っこで 悩ましくゆれている。
※詩「昨日の夢」と上の写真「河川敷の光景」のあいだには、直接的なつながりはありません。なお、ピーテル・ブリューゲルについてはこちらで、代表作12点を参照することができます。
■ウィキペディア
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%83%BC%E3%83%86%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%96%E3%83%AA%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B2%E3%83%AB
INDEX <2> 21編
(右側の数字は“日記”にアップした日付)
作品の数がふえてきたので、INDEX <2>をアップしておこう。
目標として、100編の詩を書こうとしている。
わが事ながら、さきのことはさっぱりわからない。
詩の女神(ミューズ)のようなものが、いつわたしを見放すか、それがいつも気がかり(^^;)
詩のことばは、コミュニケーションを目的としているのではないようにみえる。
たしかに、詩の半分くらいはわたし(=ぼく)が書いている。しかし、残り半分は、どこかハッキリしない遠方からやってきて、わたしの右手に宿るのだから。
38.昨日の夢 7/31
37.二匹と一匹のキツネ 7/31
36.「一草庵」由来 7/30
35.べっこうの櫛 7/29
34.日溜りのネコ、あるいは幸福論 7/28
33.幻の町 7/27
32.風の音 7/24
31.矢車菊をさがして 7/24
30.琥珀色の時間 7/21
29.シンフォニーを聴いていると 7/18
28.秋はやってくる 7/17
27.遠い夏の記憶 7/17
26.比喩のリンゴ 7/15
25.理由 7/9
24.真夏のフラグメント 7/8
23.高貴なサラへのラヴソング 7/3
22. Mr. OLDMAN 7/2
21.水いろ駅 6/30
20.アントン・ブルックナーのほうへ 6/29
19.断崖 6/29
18.巨きな水の木 6/28
INDEX <1> 17編はこちら。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1742269593&owner_id=4279073