二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

コムラサキに出会った日&水のしたたる音(ポエムNO.48)

2011年08月28日 | 俳句・短歌・詩集

今日は3枚のCDを自宅のラックからテキトーに選んでもってきた。
ピアノ:リヒテル、ヴァイオリン:カガンが組んでやったブラームス他のヴァイオリン・ソナタ集、フジコ・ヘミング演奏によるグリーグの「ピアノ協奏曲イ短調」他、そして、これ。

ブルックナー「交響曲第4番変ホ長調“ロマンチック”」
オットー・クレンペラー指揮、フィルハーモニア管弦楽団演奏

この一曲は、三毛ネコにとっては、ブルックナー開眼の一歩となったので、思い出があるといえばある。これまで経験したどんな曲とも違った、ブルックナー世界が、この一曲から開けてきたのだ。クレンペラーの前は、たしかカラヤン&ベルリンフィルで聴いていたはずだけれど、“さび”の部分をのぞいてまったく感動せず、おかげで長いあいだ、ブルックナー嫌いのままだったのだ。
「苦虫を噛みつぶしたような」という形容がぴったりな指揮者クレンペラーが、女性に手のはやい、「七転び八起き」のすさまじい人生を送った男だ・・・ということを知ったとき、「まさにそういう人間の音楽になっているぞ」と考えたものであった(笑)。
ただ、いささか聴きあきてしまったので、最新録音のアバド&ウィーンフィル盤を購入しようかどうか、迷っている。

さて、mixiアルバム「片隅の世界」をアップしたので、ご紹介させていただこう。
トップに掲げたのは、コムラサキの顔面クローズアップ。
コムラサキは、こんなチョウ。






地面に舞い降りて、水(または土中のミネラル)をおいしそうに吸っていた。
わたしが遇いにいかないので、向こうからやってきてくれたのだろう(^_^)/~
サンキュー!



こっちの葉陰では、ヤマトシジミのカップルがラブシーンの真っ最中。
おいおい。退場の時季が近いってのに、もう一世代頑張らせるつもりなの(?_?)


* *(以下ふろく)* *


水のしたたる音(ポエムNO.48)

ひたひた ひたひた。
水のしたたる 音が聞こえる。
ぼくの頭蓋のうしろ ずっとずっとうしろのほうから。
水のしたたる音がして
水がしたたり落ちている。

ぼくの祖父の許へ「山越の弥陀」があらわれた夕べのことを覚えている。
犬がいつまでも啼きやまなくて
アザミの花がそこら一面 風にゆれて
善光寺のほうから渡ってくる風にゆれて。

引き返してみようか あのあたりまで。
あの日 伊勢崎市郊外の埃っぽいバラス道で 
ああ あの場所で
祖父が立ち止まって 幼いぼくを待っているかもしれないから。
「どうした 草臥れたか? まだ歩けるだろう
まだ もう少しだな――」

あれから三十年が過ぎている。
悪戦苦闘しつつなにをし なにをしなかったかを
ぼくはいま考えている。
祖父の臨終に流したぼくの涙が・・・
ひたひた ひたひた。
ぼくの記憶のうしろ ずっとずっとうしろのほうから
水のしたたる音がして
涙がしたたり落ちている。



※折口信夫「死者の書」からヒントをいただいているところがあります。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ねえ「逝く夏をおしむ歌」を... | トップ | 愛情69 エロチックな詩について »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

俳句・短歌・詩集」カテゴリの最新記事