二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

時の後ろ髪を掴む

2016年06月13日 | Blog & Photo
記憶に残る一枚(100)。ラストシーンはこれ・・・と決めてあった(^^)/ 
秋の斜光線が奥の壁に「撮影」の撮を投影している。

ここはかつて「町の写真館」であった建物。隣地には一回り小さな新社屋が完成しているが、旧建物の解体ははじまってはいなかった。
数カット撮影したあと、しばらくその場に釘づけだった。

そのときの感動を数文字で表すのは、ほとんど不可能。
「方丈記」の中のあることばが、オーケストラのように、頭の中で響いていた・・・ような気がする(笑)。
わたしは過ぎ去った“時の後ろ髪”をこのとき、たしかに掴んだのだ。
2011年11月16日、埼玉県本庄市の出来事。


※「方丈記」より
たましきの都のうちに、棟を並べ、甍を争へる、高き、卑しき、人のすまひは、世々を経て尽きせぬものなれど、これをまことかと尋ぬれば、昔ありし家はまれなり。
あるいは去年焼けて今年作れり。あるいは大家滅びて小家となる。住む人もこれに同じ。所も変はらず、人も多かれど、いにしへ見し人は、二、三十人が中に、わづかにひとりふたりなり。
朝に死に、夕べに生まるるならひ、ただ水のあわにぞ似たりける。知らず、生まれ死ぬる人、いづかたより来たりて、いづかたへか去る。
また知らず、仮の宿り、たがためにか心を悩まし、何によりてか目を喜ばしむる。その、あるじとすみかと、無常を争ふさま、いはば朝顔の露に異ならず。
あるいは露落ちて花残れり。残るといへども朝日に枯れぬ。あるいは花しぼみて露なほ消えず。消えずといへども夕べを待つことなし。
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