二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

クラシック音楽におけるオーセンティック(正統的)とはなにか?

2010年09月30日 | 音楽(クラシック関連)
ベートーヴェンの交響曲第3番といえば、
シンフォニーの名作中の名作。
中学生のころから、ときおり聴いているけれど、いまだに飽きがこない、
わたしにとっても、稀有な音楽。
主として若いころのカラヤン&ベルリン・フィル(1960年代の録音)盤を愛聴していた。

超有名なクラシックの名作とはいえ、何度となく聴いているうち、 「はじめての感動」がうすれるのはやむを得ないところ。
しかし、ベートーヴェンでいえば、第3番<エロイカ>と第9番<合唱>だけは別格なのだ。聴くたびに、新しい発見のようなものがあって、
「おや?」と胸のどこかが波だってしまう。

「初体験」の刷り込みとは恐ろしいもので、最初の感動から逃れるのは、なかなかむずかしく、この3番も長いあいだ、カラヤン以外では聴けなかった。
ところが、ひょんなことから、フランス・ブリュッヘンの同曲の演奏CDを手に入れ、いささかガクゼンとし、ほかのCDと聴き比べをしてみたくなっている(;_;)
ブリュッヘンの同曲の第2楽章が、まったく違った音楽にきこえたからである。
・・・というわけで、ネットを調べてみたが、<エロイカ>の聴く比べは、ほとんどupされていないし、アマゾンの現行盤も、予想以上に少ないことが、さっき判明した(=_=)
へええ、こんなものか?
皆さん、だれの演奏で聴いているんだろう。なにがよくて、なにがだめなのか?
本音トークのようなものがあったら、お訊きしてみたいとおもう。

わたしが長年遠ざかっていたあいだに、古楽器によるクラシック音楽の演奏がメインストリームになりかけたことがあったのだ。知らないで借りてきて、アーノンクールのブラームスに「え? おやおや」と思ったのはまだ最近のこと(^^;) 生のイカを食べるのと、スルメくらいの差があるのである。どっちもイカには違いはないのだが・・・。

わたしには、オーセンティック(authentic)という概念があって、
いつもそれとの距離が気になるが、このことばの定義は案外むずかしい。
オーセンティックの対義語はなにか? じつはレプリカだったりするからだ。
わたしがオーセンティックだと思える演奏とはなにか。
ブリュッヘンを聴いて考えたのは、そういったことだった。
オーセンティックなものだけを聴いていたのでは、じつはオーセンティックとはなにかが、わからないというジレンマがあるのである。笑えるような、笑えないような話だが、ただ単に権威にひれふすだけなら問題はないのに、そこから一歩さきへいこうとすると、素人には手に負えないアポリアが待ちかまえている。ドイツ・オーストリア系の音楽に関しては、迷ったときはベルリン・フィルとウィーン・フィルをお聴きなさいとはいえる。しかし、それだけでもないだろう・・・という考え方もあるはず。

21世紀はもしかしたら、このオーセンティック(authentic)という概念それ自体が、成り立たない時代なのかも知れないし――。
CDを買って、1枚1枚聴いて、そうして「わたしの(オーセンティックな)名盤」を探しあてるしかないのだろうなぁ、やっぱり。ベートーヴェンはとりあえず、わたしの場合、さきに書いたように、フルトヴェングラーではなく、カラヤンが「原器」となる。
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