二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

TAKASAKIは今日は曇り(ポエムNO.3-34)

2020年04月06日 | 俳句・短歌・詩集
ポテトチップスを食べながら 空を見あげ
ラジカセのスイッチをふたたびONにする。
手をのばし ブルーに光る小さな突起にふれる。
そこから音楽がはじまる。

サイトウ・キネン・オーケストラの音楽には
“いま ここだけ” の響きがつまっている。
景色はつぎつぎ変化していくので
異界へ向かう列車にゆられているようだ。

ゆられている・・・
そう まさにゆられているのだ。
ブラームスやチャイコフスキーの音楽に
ゆられている。

どこへ向かう列車かわからないので異界といっておこう。
サクラはもう散ってしまったな
十年前 二十年前のあの日とおなじように。
TAKASAKIは今日は曇り。

ここはほんとうはどこ?
あなたはだれ?
ほんとうはだれなんだろう。
第一楽章から第四楽章まで

それら時空のかなた ゆるやかにうねる風景。
ああブラームスが あのひげを生やした小男が
「赤いはりねずみ」のドアを開けしめし
楽器が奏でる音によりかかってうたた寝をはじめた。

ポテトチップスを食べながら 空を見あげ
ラジカセのスイッチをOFFにする。
ブラームスもチャイコフスキーもどこかへ消えてしまう。
美しい虹も たちまち

たちまち消えてしまった。
虹がまだ空にかかっていたとき
その虹の橋を渡っていった人たちのざわめき
耳をすませばいまでもそれがきこえる。

TAKASAKIは・・・
TAKASAKIは今日は曇り。



※赤いはりねずみは生涯独身だったブラームスがよく出入りした、ウィーンのレストラン。
http://www.kagemarukun.fromc.jp/page008o.html


  (画像はネットより拝借)

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