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二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

だれか憶えているかしら  (NO.2025年-02)

2025年06月06日 | 俳句・短歌・詩集
あの雲は動いているんだろうか?
あまりに大きくて そのあたり一面を陰りが覆っている。
雲のへりにはひざしがあってね。

そこからさきへはめったに出られた
ことがない。出られたこと・・・がない。
だれかが忘れていった荷物のように

ぼくは“そこ”にころがっている。
犬がきたり猫がきたり
いろいろな黒い虫がぼくの周りを通り過ぎる。

スイフトが書いたガリバーのように いや
配達人が忘れていった荷物のように
ぼくはころがっている。

ああ おお。
本が枯れてゆく。どんどんと本から文字が逃げ出して
ぼくの手がとどかないところへ。

とどかないところへ逃げてゆく。
結局はだれかが忘れていった荷物となって
ぼくは白いページばかりで出来た

不思議なふわふわした本のからわらに
寝そべっている。
雲がどんどん どんどん

あっちへいってしまう。
日陰も消えてゆく。
消えた日陰のことを だれか憶えているかしら。



※この写真と詩には直接関係はありません。

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