二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

百万年ばかり(ポエムNO.3-94)

2020年07月16日 | 俳句・短歌・詩集
   (高崎市 2020年1月撮影)



大勢の客の一人に過ぎないのに
いつか主人面をしてのさばっている人間を
だれかが叱りとばさなければならない。
そういう役割をになって

肉眼には見えない小さな生命体がこの世界に派遣された
としたらどうだろう。
「話せばわかる」と
思っているのだろうか いまだに。

人間は人間であることから逃れることができない。
憐れむべき秩序と反秩序の色が
生活の隅から隅まで染めている。
そこから逃れることができない。

最後の一人と一匹が
数百年後にはくぬぎの葉っぱのように横たわるだろう。
神様・・・そういうものがいたとしたら
その節くれだった巨大な手が

最後の一人と一匹を拾いあげゴミとして捨てる。
銀幕の端っこにENDマークがあらわれ
宇宙にかすかな かすかなどよめきが拡がる。
厄介な客を追い払ってずいぶんせいせいしたな。

銀幕の向こうにかくれていた裏方が
ちらっと顔をのぞかせ 口をもぐもぐ。
しーんと静まりかえって
やがてつぎの客がやってくる。

おい!
また百万年ばかりもてなしてやれ。
面倒をみてやれ。
はじまりと終わりのピリオドは

まだここに一袋ある。
これを使いきるまでにいったい何億年を要することか
やれやれ だれかが
銀幕の向こうで こっそりつぶやいている。

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