二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

気まぐれエレジー(ポエムNO.4-02)

2020年08月06日 | 俳句・短歌・詩集
   (「ランボーの帽子」をかぶった中原)

   ――中原慕情


そうか 永遠の少年とは
きみのことだった。
なぜか気になってしかたなかった。
それは それはきみが永遠の少年となって
時空にぶらさがっているからだ
・・・とさっき気がついたんだ。
三十で死んだきみを
少年あつかいするってのもおかしいけれど。
中原中也
覚えやすいいい名前だよ。
きみに話しかけたくなった 突然ね。
文庫本の「中原中也詩集」を
もう何ヶ月も持ち歩いて
偶然開いたページを読む。

  あれはとほいい処にあるのだけれど
  おれは此処で待つてゐなくてはならない
  此処は空気もかすかで蒼く
  葱の根のやうに仄かに淡い

きみがしるしたことばの麗しさがこころに沁みて
目頭が熱くなったりするのは
ぼくが年を取ったせいだ。
きみの倍以上この世にとどまって
ときおりきみの眼になってこの世を眺めている。
フクさんの大きな愛につつまれ
母の皺だらけの手のひらで永遠に遊んでいる
少年の中原。
ぼくはありふれた一輪のすみれだから
明日には散ってしまうかもしれない。
散る とはきみのいるところへいくこと。
“とほいい処”にいるきみに会いに。
ところでその後も詩は書いているんだろうね。
そっちへいったら見せてくれるかい?



※ 詩は中原中也「言葉なき歌」からの引用。
「私の上に降る雪は―わが子中原中也を語る」中原フク述  (講談社文芸文庫)

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