二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

違和感の連鎖(ポエムNO.2-20)

2013年09月29日 | 俳句・短歌・詩集
もう死んでしまおうと思いつめた孤独な老人が
死ねずに長いながい道を歩いてもどってくる。
そのゆっくりとした足取りとうしろ姿を
共感をこめてぼくは見ている。
きみは郊外の住宅を売って
町中の中古マンションと
あまった予算で新型のボルボを買ったんだってね。
10月になるってのに まだヒマワリが咲いている。
あと10年くらいは生きられるかな きみもぼくも。

昨日からまた「死の家の記録」を読みはじめちまってね。
ドストエフスキーのさ。
もう何回目になるか
人間ってなにかわからなくなると読み返す。
そして・・・ますますわからなくなっちまう。
矛盾しているけれど
それがありのままのぼくなんだろう。

低カロリーのビールを飲み
よく冷えた甘い梨にかぶりつく。
それだってやっぱり どこかおかしい。
草退治が嫌いなばかりに 庭をつぶして
すべてアスファルトにした友人が
灼熱の暑さにあえいでいた今年の夏。
体の奥を風が吹き抜けていく むなしい
というのとは違うけれど。
日常は小さな違和感の連鎖でできている。

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