二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

写真の神様

2011年03月09日 | Blog & Photo
写真を撮るもの好きだけれど、写真集などを見るのも好きで、かつて、東京スナップで出かけていった東京で、写真集を大量に立ち読みしていた時代がある。
東京の大型書店の中に、写真集をとくに優遇し、特設コーナーをもうけてあるものがあった。いなかの本屋にも、そういったコーナーがあったりするが、まるで規模が違い、輸入版なども手にとって眺めることができた。わたしが毎月2回は出かけていたのは、1990年代のこと。現在のように、インターネット経由で書籍検索し、直接「お取り寄せ」は考えられもしなかったから、「大型書店の写真集コーナー」は、当時のわたしにはまるで宝の山。

デジタル化の大波が押し寄せる直前で、人間が撮りたくて、原宿のホコテンや、新宿・渋谷の人混みのど真ん中でよくシャッターを押していたものだった。

ほしい写真集が訪問するたびに出現し、とてもじゃないけれど、お財布がもたない。
出版部数が少ないこともあるのだろうが、写真集は一般的にいって、かなり高額なのだ。
最近では森山大道さんの「北海道」がほしかったのだが、2万円という値段では、おいそれと手がでなかった。

あのころのわたしには「写真の神様」といえるような人が何人かいた。
☆エド・ヴァンデル・エルスケン
☆ウォーカー・エヴァンス

今回ふと思い立って子ども部屋で撮影したこの二人も、
「写真の神様」として仰ぎ見たころがあった。



これは超有名な一枚なので、ご存じの方も多いだろう。エルスケン若き日のセルフポートレイトである。バルナック・ライカを構え、恋びととベッドで写した一枚も、味わいのあるセルフポートレイトの逸品。
野心満々ながら、まだ世に認められてはいなかったころのエルスケンの、プライドや鬱情が刻み込まれ、見る者を引き込む。この一枚にあこがれてローライコード(あるいはローライフレックス)を買った写真学生が、かつては多かったと聞く。
「セーヌ左岸の恋」(「巴里時代」と題されて再編集・再刊されている)ばかりが有名だが、
わたしはそのあと、無理して自らの仕事の総集編とでもいうべき「ワンス・アポン・ア・タイム」(リブロポート刊12,600円)を買った。ここには、ガンで余命いくばくもないエルスケンがいる。




『エルスケンの写真の基本はストリート・ライフだ。40年余りにわたって世界各地の人間を撮り続けた。社会の主流からはずれた人間に親近感を抱き、そうした人々を求めて大都市の裏通りを歩きまわった。1990年12月28日、65歳で世を去る前に自ら構成し準備していた本書は、デビュー作「セーヌ左岸の恋」をはじめ、1988年の韓国取材までをふくむ、まさにエルスケンの集大成と呼ぶべきものである。』(引用)

ドラマチックすぎというか、物語性があまりに濃くて「おいおい、作りすぎだろう」といいたくなる「セーヌ左岸の恋」はともかく、彼の何枚かのセルフポートレイトは、わたしにとっては、「究極の写真」といえるような、忘れることのできない存在。




いっぽうこちらは、ドキュメンタリー・フォトの巨匠、ウォーカー・エヴァンスである。
写真家がいまより10倍、いやそれ以上価値をもち、世間からも評価されていた時代のスターといえるひとりであろう。

ここに写っている「HAVANA」はいまでも時折読み返す三毛ネコ大好きな一冊。
解説はここにあるので、興味のある方はどうぞ。
http://www.artphoto-site.com/b_266.html

いまとなっては入手困難、あるいはプレミア付きの写真集がかなり多い。
あのころもう少しお金があったら(^^;)・・・と思わぬでもないが、まあ、それでも書庫には門外不出といえる大事な写真集が、ほかに20冊ばかり眠っている。
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