二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

中国はどこへ向かうのか ~岩波新書で中国史を読む

2021年02月01日 | 歴史・民俗・人類学
岩波新書、中公新書には、昔からお世話になっている。文春新書、講談社新書なども読むが、岩波・中公に比べたら相当少ないだろう。 歴史にはまると、どうしても岩波&中公に注目せざるをえない。それだけ、おもしろそうな本を続々と刊行しているということだ。 さて、本日は、前回につづけて、岩波新書シリーズ中国近現代史から2冊を取り上げる。 ■久保享「社会主義への挑戦 1945-1971」シリーズ中国近現代 . . . 本文を読む
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「中華人民共和国史」 ~天児慧、analystsの言説に耳をすます

2021年01月27日 | 歴史・民俗・人類学
■天児慧「中華人民共和国史 新版」岩波新書(2013年刊) 毛沢東と鄧(とう)小平という指導者が、本書の主役である。読みはじめる前から見当がついたことではあるが・・・。 (1)天児慧「巨龍の胎動 (毛沢東VS鄧小平)」(講談社中国の歴史) (2)「『中国共産党』論 習近平の野望と民主化のシナリオ」 (NHK出版新書) (1) はもっているし、(2)も購入予定ではある。この人は、歴史家というより . . . 本文を読む
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石川禎浩「革命とナショナリズム 1925-1945」シリーズ中国近現代史③ 岩波新書(2010年刊)の衝撃

2021年01月25日 | 歴史・民俗・人類学
《協力と対立を繰り返しながら、日本の侵略に立ち向かい、中国を大きく変えていった国民党と共産党。このふたつの政党を主人公として、ソ連との関係や運動の実際などにも目を配りながら、革命とナショナリズムに彩られたイデオロギーの時代を描き出す。孫文の死から抗日戦争の終結までの激動の20年。》(BOOKデータベースより) あとがきをふくめ、240ページの小冊子である。だが、読むのにそれ以上の時間を費やした . . . 本文を読む
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事実求是(じじつきゅうぜ)って何だろう ~「清朝と近代世界 19世紀」ほか

2021年01月22日 | 歴史・民俗・人類学
事実求是とははじめて聞くことばだ。 噛み砕いていうと「事実に基づいて、物事の真実を求める」となる。 片山智行さんの「魯迅 阿Q中国の革命」を拾い読みしていたら、出てきたことば。 わたしがフィクションではなく、歴史を読みたがるのは、心の隅に、こういう衝動、あるいは欲求があるからだ・・・と思う。 事実求是・・・覚えておきたい語彙である。 さて本日はつぎの2冊のレビュー(感想)を書こう♪ ■古澤誠一 . . . 本文を読む
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土肥恒之「ロシア・ロマノフ王朝の大地」興亡の世界史(講談社学術文庫 2016年刊 原本は2007年)を読む

2021年01月16日 | 歴史・民俗・人類学
ロシア文学には、一時期ずいぶんお世話になった。ドストエフスキーを筆頭に、トルストイ、チェーホフなどの、いわゆる“定番”と称される作品ばかり、だけれど(;^ω^) しかし、きちんとロシア史を学んだことが、これまでなかった。文学の書を読んでいただけでは、本当のロシアは見えてこない。 とはいえ、日本人がロシア史の研究をはじめたのは、おそらく第二次世界大戦後・・・ということになるだろう。そしてソ連の崩壊 . . . 本文を読む
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国家と時代の闇をリサーチする ~オスマン帝国と中国・江南の歴史

2021年01月13日 | 歴史・民俗・人類学
■小笠原弘幸「オスマン帝国 繁栄と興亡の600年史」中公新書(2018年刊) 600年もの歴史を、一息にたどっていく。そういう困難な課題に、真っ向から挑んだ著作。読む側も、心してかからなければならない・・・と思いつつ、ページをはぐっていった。 要はオスマン朝における、権力闘争の歴史である。 メインテーマをそこに絞り込み、初代のオスマン一世から、第三十六代のヴァヒディティンまで、すべてのスルタンに . . . 本文を読む
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東大法学部政治学科「平野聡ゼミ」を受講する・・・つもりで

2021年01月09日 | 歴史・民俗・人類学
■平野聡「大清帝国と中華の混迷」講談社学術文庫 興亡の世界史(2018年刊、原本は2007年) なにを隠そう、わたしめは法学部政治学科のご出身(笑)。 高校時代、丸山眞男さんの「日本の思想」(岩波新書)「日本政治思想史研究」(東京大学出版会)を読んで以来の、いわば隠れファン。 クラシック音楽、とくにフルトヴェングラーの日本における権威でもあったことを、後になって知った。 しかし、平野聡さんは、 . . . 本文を読む
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金文京「三国志の世界 後漢 三国時代」講談社学術文庫を読む

2021年01月05日 | 歴史・民俗・人類学
■金文京「三国志の世界 後漢 三国時代」講談社学術文庫(中国の歴史4)2020年刊(原本は2005年) 金文京先生は、中国語文学がご専門のようなので、文学臭ふんぷんたる著作かと予想していたが、そうではない。土台がしっかりとした、歴史書となっている。 この「中国の歴史」シリーズはどれをとってもレベルが高く、力作ぞろい、本書も圧倒的な読後感を味わうことができた。 以前も書いたが、文字(印字)がもう . . . 本文を読む
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寺田隆信「永楽帝」と杉山正明「クビライの挑戦」を読む

2021年01月02日 | 歴史・民俗・人類学
■寺田隆信「永楽帝」(中公文庫)1997年刊 原本は1966年刊人物往来社 平易でオーソドックスな文章なので、高校生向けの入門書みたいにすらすら読めた。寺田隆信先生は、京大の史学科なので、宮崎市定さんの門下生になるのかもしれない。 論旨もいたって明快、しかも物語性があるので、歴史小説風味がある^ωヽ* 永楽帝はよく大帝と称されるが、この皇帝をあつかった評伝は、日本では最初のものだということで . . . 本文を読む
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氣賀澤保規「絢爛たる世界帝国 隋唐時代」に胸が震えた

2020年12月29日 | 歴史・民俗・人類学
   (おおきなくしゃみしたため、コーヒーをこぼし、2冊目を買うハメに) ■氣賀澤保規「絢爛たる世界帝国 隋唐時代」中国の歴史6 (講談社学術文庫2020年刊 原本は2005年) すべりだしの第一章、二章、三章はやや退屈だった。知っている話を、また聞かされているような・・・。 ところが、第四章から俄然おもしろくなる。 目次を掲げてみよう。 第一章 新たな統一国家 隋王朝 第二章 唐の再 . . . 本文を読む
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