花組「愛と革命の詩」「Mr.Swing!」

2013-09-10 23:54:33 | TAKARAZUKA
このお芝居で景子先生が描こうとする世界観は大好き。めちゃ大好物です!(笑)

フランス革命ものはどの作品にも共通するのか、「スカピン」「ベルばら」「二都物語」のプロットをなぞりつつも、「エリザベート」「シラノ・ド・ベルジュラック」「レ・ミゼラブル」、しいては遠藤周作の「沈黙」、そして「ガラスの仮面」の世界観もあって、まゆさんと蘭ちゃんの役の関係性はまさに北島マヤと紫の薔薇の人でした。めちゃ大好物でした(笑)

まゆさんと蘭ちゃんの役柄に関しては何も文句ないんですが、ただ、みりおの役があまりの中途半端な描かれ方なので、みりおが気の毒でならなかった。同じことがみつる君にも言えるんですが、ファンは、特に私はね、贔屓の出番の多さより、役に懸命に生きる贔屓が見たいんですよ!みりおもみつる君も中途半端な人物像で、これで役作りをしないといけない二人が見ていて可哀想だった。

ぶっちゃけ書くと、みりおの役は、みーちゃんの役と分離させない方が良かったと思う。合致させたら、それこそショーヴランになってしまうけども、分離することで、みーちゃんは美味しい役になったけど、反対にみりおのカルロが“オマエ何がしたいねん!”って言いたくなるくらい中途半端な人物像に見えてならない。

革命派の手先となって、自分の理想とする自由思想がこれで正しいのかどうか自問自答するなら、そこの葛藤を強調して、裁判やマッダレーナに不必要に絡ませないで欲しかった。後半の無駄に出番が多く、無駄に主役二人に絡むからカルロの気持ちの変化に説得力が欠けてしまう。

みつる君のアンドレアの弟も同様に、最後面会に来るのはな…。メルシー伯爵みたいで不自然。あんなに兄と対立した考え方をしていたのに、兄弟だからといって何の説明のない兄弟愛にも説得力が欠ける。そもそも兄が逮捕されることを密告しておいて自分は逮捕されないのか?って思ってしまった。

この二人に関しては出番の数より、役にもう少し肉付けして、ちゃんと心の変化をワンシーンとして見せてくれたら、存在価値が見出だせたと思う。

そういう点で考えると、ダイモンやみーちゃんの役が出番が少なくても単色な役柄だから非常に美味しい役になってしまう。みりおにも二番手としてちゃんと美味しくしてあげないと可哀想。

脚本に関してはそこだけが残念でならなかった。後はもうル・サンク買おうかと悩んだくらい、景子先生が選ぶ言の葉に癒されてました。

まゆさんのアンドレアと蘭ちゃんのマッダレーナ二人とも、景子先生が選ぶその言の葉の葉脈に真の愛の魂が流れるのが見えるくらい素晴らしい演技だったので大変満足してます。正直、今日観る限りでは蘭ちゃんの演技の何処が悪いのか私には分からなかった。

カオスな時代だからこそ必要な真実を視る力。究極な選択をせまられても貫く誠の愛や志。見事に演じてました。そこは脚本的にも丁寧に綺麗に描けていたと思います。

私だけじゃないと思うけど、今生きている自分って、もちろん家族や仲間や身近な人たちのお蔭でもあるけど、全くの他人の言葉で生かされてるって思ったことありませんかね?

私は、もちろん宝塚の存在や演劇も含め、たくさんの他人さんの存在や、それこそドストエフスキーの描く人物像に生かされていると思うことが多々あるんですよ。ドストエフスキーの描く人物像ってまさに本の中の言葉の中にしか存在してないわけだから、いかに言葉が大事かって思うわけですよ。

この作品には、そういったタイトル通り詩を含めた言葉の大切さを改めて教えてくれるものがあったし、大切な人が一人でもいることは生きる糧にもなるし、真の愛は本当に永遠だと思うくらい説得力のある内容だと思いました。

私が言う処世術とは、本音と建前を上手く使い分ければ、喧嘩や争いをしなくて済む方法。自分が少しでも楽に生きるための手段。この作品に描かれているようにズル賢く世の中を渡って生きたり、誰かを陥れたりするための手段じゃないんです。

踏絵のような究極な選択をせまられる時代では、生きていくために誰かを犠牲にしなくてならない状況もあります。アンドレアやマッダレーナのように崇高な愛を貫く自己犠牲の選択は相当な勇気が必要だと思います。だからこそ、戦争のような究極の選択をせまられる状況を何度も繰り返しちゃいけないんですよ。皆その努力をしないといけないんですよ。そのためには真実を視分ける力が不可欠なんです。

景子先生は、本当に、この世の中で大切なことをたくさんこの「愛と革命の詩」に盛り込んでました。メッセージ性豊かな作品だと思います。何度も書くけど、みりおとみつる君の人物描写だけテコ入れしたら完璧なんだけどね…。

大劇場初登場の松井るみさんの美術や大石裕香さんの振付は、私には斬新さみたいなのは感じませんでした。至って宝塚的だと思いました。振付の内容というよりかは世界のレベルに対応出来る生徒がいることが逆に凄いと思った。あの翼は、ラブシーンの時が照明と相まって非常に効果的でした。他のシーンでも照明を工夫すればもっと見所になると思うんだけどね…。

で、ショーは…、

ぶっちゃけ書くと、うるさい。音量上げすぎ!しかも隣に座っていたおばさん二人がショーが始まった途端に喋りまくっていて、注意しても喋るから全く舞台に集中出来なかった。ついつい“いい加減にしろよっ!”って言ってしまった。同じお金払ってるのにマジありえへん!

ということで、ショーをじっくり観るためにまた観に行きます。

一応、みりお贔屓として言わせて頂くと、みりおは十分華は備わっているけど、花組の中では線が細すぎ。もし、花組でトップになるなら、星組の瞳子さんみたいに小柄でも大きく見せられる技を身につけないといけないね。今のままではセンターに立つみりおが想像できない。完全に組子に埋もれてしまっている。みりおも祐飛さんみたいに変革しないといけない時期がきたかもしれないね。頑張れ、みりお!みりおなら出来る!

今日のまとめ:みーちゃんへのメッセージは次回書きます。一言、お芝居のみーちゃんは超性悪です!めちゃ良かったです!

松井るみさんの美術を担当した作品、ウィキペディアで調べたんですが、結構わたくし観ておりました。最近だと「木の上の軍隊」「春琴」「藪原検校」。遡れば「スウィニー・トッド」。「スウィニー~」はめちゃくちゃ金を掛けてる感があって今でも印象深いです。

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