レトロスペクティブ2023 4日目

2023-07-23 23:34:50 | 映画
私の中でずっとトラウマ映画だった「奇跡の海」を観てきました。

まじトラウマ映画だったから今回はスルーするつもりでいたのですが、まるで誘われるように観たら、

めちゃくちゃ名作だった!!

カンヌでグランプリを獲るだけある!

もう涙涙!!

今だから分かる、神様との対話であったり魂の会話であったり、

ラース、あんたマジ天才!!としか言いようがないくらい素晴らしかった。

初見の時は、エミリー・ワトソンの魂を売った演技と過激描写でトラウマ映画になってしまったため、ずっと見ずに封印してきましたが、

あれからうん十年経ち、改めて観させてもらって、これは、ドッグヴィルもメランコリアもダンサー〜も軽く超えるくらい、ラース作品の中でナンバーワン作品になった!

当時、過激描写と思ったシーンも、アンチクライストに比べたら全然過激じゃなかった。

当時、まだまだ若かったせいか、1週間ずっと気分が落ちてずっと引きずっていたが、今は引きずるどころか感動しまくってテンションアゲアゲです。

もうさ、エミリー・ワトソン演じるベスがマグダラのマリアにしか見えなかった。受難のキリストでもある。ただただ愛する人を救うために娼婦まがいなことをし、教会からは追放され、子供達からは石をなげられ、それでも愛する人のために野郎どもに身を捧げ…?傷つけられ…。ただひたすら試練に身を置く姿に涙涙でした。

「ダンサー〜」のカトリーヌ・ドヌーブ演じる役に相当するベスの兄嫁の存在も良かった。血は繋がってないのに親よりも親身な存在。聖母マリアというよりマザーテレサ的存在。兄嫁の存在が作品上での唯一の救い。兄嫁もベスの敵だったらマジ救いがない。

ラストが、まるでりえちゃんの「湯を沸かすほどの熱い愛」のような展開でもあって涙涙。ひょっとして、中野量太監督参考にした?藁

もうさ、ラストの神父の言葉こそが世の中にはびこる悪の象徴だと思った。

一体、地獄って何?

なんのために宗教があるの?

そもそも信仰って何?

自分1人よければそれでいいの?

あの世でも区別という名の差別をするの?

アンタ、ベスの何を知ってんのさ!?

と言いたくなるくらい、神との対話と魂で結びついた夫との対話を忠実に、ただただ半身不随の夫を救おうと自己犠牲精神で娼婦に身を落としているベスに対して、地獄に落ちるって、マジでありえん!ついつい映画であらることを忘れてしまうくらい、神父の言動にイラッとしてしまった。


究極の愛、真実の愛は、常にその愛を試される。

自己犠牲も厭わないと思える相手に出会ったことありますか?それぐらい人を愛したことがありますか?ってことですよ。

ベスにとってヤンはそれぐらいの価値がある人間なんですよ。


どんな人間だって、狂気は内包している。ただ、出すか出さないかだけ。

確かに、世間一般論だとベスは統合失調症だよ。でもね、私に言わせれば、ベスは誰よりも穢れを知らない純粋な乙女なんだよ。誰よりもヤンを愛しているんだよ。純粋にヤンを救いたいんだよ。

気が狂ってるとか、妄想とかそういう時点じゃないねん。

神様との対話やねん。気が狂って見えるのは世間一般論。傍から見たら確かに妄想。でも今話しているのは見えない力との対話論です。あえてスピチュアルとは言わないけど、全くの別世界。

メランコリアもそうだけど、この世には科学や数式では証明できない目に見えない力があって、その力に贖えないことがある。病名だけでは解決できないものがある。


本当の悪とは何?本当の善とは何?

社会の常識とは、社会のルールであっても、人間の本質を捉えたものか?

自分は善と思った行為も、誰かにとっては悪であったりする。

自分の中に善と悪が両方潜んでいること知ってる?

自分の悪に気づかず、自分のことを棚に上げて他人の悪を好き勝手に裁いていないか?

都合の良い時だけ神様に頼って、都合が悪くなったら誰かのせいにしてないか?

神様との対話とは自分の内心との対話だということを知っているか?

めちゃくちゃ名作だったよ!

邦題を付けた方も天才!

原題の「Breaking the waves」(砕波?)とは異なるけど、

原題は、どんな高波も障害も2人の愛の前では砕ける、と私は解釈してます。

奇跡の海とは、映画「誰が為に鐘は鳴る」のラストの鐘と同じく、まさにあの2人を祝福する鐘の音でもあり、ベスの魂の音でもある。と解釈。

ぶっちゃけ、そこだけファンタジーだったけどね。

よく宝塚のトップさんが言っている、卒業を決める時に鐘が鳴ると同じだと思った。

誰かの、何かのメッセージ。守護霊さんか、自分の心の声なのかは分からないけど。


私にとっては、めちゃくちゃ名作でした。

ラース、ありがとう!と言いたい。










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