雑文の旅

猫爺の長編小説、短編小説、掌編小説、随筆、日記の投稿用ブログ

いのししと、土鳩と、人間と

2011-11-06 | 日記

 テレビの報道番組で、野生の猪に餌を与えている老人の姿が撮影されていた。 山に餌が少なくなり、飢えた親子の猪が餌を求めて街に出てくる。 人間が猪の餌場を奪ってしまったからではないか。 慈悲深い私が見るに見かねて餌を与える。 それがいけないことなのか。 この老人、多分そんなスタンスではなかろうか。 

 しかし、やっていることは、餌を与えると懐いてくれて可愛いから、無心に餌をむさぼる姿が見ていて楽しいからではないのか。 そこには、人々や、猪自体も被害にあっていることなぞも知る由もないのだろう。 畑や庭を荒らされたり、襲われて怪我をしたした人、その原因が「餌付け」にあることを説明されても、聞く耳を持たない。 

 猪も、山で餌を探すより、美味しいものが簡単に得られる街に出て、餌を貰ったり、ゴミをあさったりすることをおぼえてしまうと、山で餌を探すことをやめてしまう。 その結果「害獣」として、やがては駆逐されることになる。 

 雨の中、公園の土鳩を撮ってきた。 鳩が啄んでいるのは、公園の樹木からこぼれ落ちた木の実ではない。 多分誰かが与えた玉蜀黍(トウモロコシ)だろう。 鳩が平和の象徴と言われたのは遠い昔のこと、今は「害鳥」と呼ばれている。