テレビの報道番組で、野生の猪に餌を与えている老人の姿が撮影されていた。 山に餌が少なくなり、飢えた親子の猪が餌を求めて街に出てくる。 人間が猪の餌場を奪ってしまったからではないか。 慈悲深い私が見るに見かねて餌を与える。 それがいけないことなのか。 この老人、多分そんなスタンスではなかろうか。
しかし、やっていることは、餌を与えると懐いてくれて可愛いから、無心に餌をむさぼる姿が見ていて楽しいからではないのか。 そこには、人々や、猪自体も被害にあっていることなぞも知る由もないのだろう。 畑や庭を荒らされたり、襲われて怪我をしたした人、その原因が「餌付け」にあることを説明されても、聞く耳を持たない。
猪も、山で餌を探すより、美味しいものが簡単に得られる街に出て、餌を貰ったり、ゴミをあさったりすることをおぼえてしまうと、山で餌を探すことをやめてしまう。 その結果「害獣」として、やがては駆逐されることになる。
雨の中、公園の土鳩を撮ってきた。 鳩が啄んでいるのは、公園の樹木からこぼれ落ちた木の実ではない。 多分誰かが与えた玉蜀黍(トウモロコシ)だろう。 鳩が平和の象徴と言われたのは遠い昔のこと、今は「害鳥」と呼ばれている。