佐伯叶作(きょうさく)は、若き宇宙工学博士(はくし)である。宇宙工学の大学院で研究に没頭していたが、大富豪の父親が巨万の富を遺して死んだことから、大学院を終了後、私財をなげうって研究所を設立した。
叶作の夢は、この小さい地球を飛び出し、宇宙の彼方で知的生命体と遭遇することである。叶作は、巨額をかけて叶作一人が乗れる宇宙船を完成させた。この宇宙船は、光速の2倍の速度で推進するが、1年かけても高だか2光年の距離にしか達することが出来ない。そこで無重力圏に達すると、自分を冷凍して生命を維持することが出来、知的生命体センサーにより目的の惑星に到着すると解凍するように設計したのである。
操縦はコンピューターに任せ、障害物や恒星を避け、惑星であっても高温や低温過ぎるものを察知して避ける。実は、この宇宙船は、地球へ戻ることは考えていないので、水や食料などは積んでいない。
叶作は宇宙に飛立った。やがて眠りに就き、叶作のからだは冷凍された。冷凍の間は時間が無いので、叶作の宇宙船は「あっ」と言う間に惑星の海に浮かんだ。
やがて地球の海上巡視艇にそっくりな船が近づき、拡声器で何やら叫んでいる。叶作は宇宙船のハッチを開き外へ出てみた。
「おーい、そこの兄ちゃん、大丈夫か、どこから来たんや」
日本語で、しかも大阪弁である。
「あれっ、ここは地球ですか?」
「兄ちゃん、当たり前や、地球やで」
まるで「猿の惑星」である。叶作の宇宙船は、後戻りして地球に戻っていたのだ。
「そうか、知的生命体センサーは付けたが、地球を標的から外すのを忘れていた」
二度目は準備万端、これで何処までも進めると、叶作は納得がいくまで機能を追加し、点検をした。地球を出発し、大気圏を突破すると、叶作は眠りに就いた。
「もしもし、お兄さん起きておくなはれ」
また、大阪弁だ。あれだけ納得をして発射したのに「またもや失敗か」と、叶作はがっかりした。
「ここは地球ですよね」
「いいえ、違います」
「地球ではない? では、地球にそっくりな惑星かな?」
叶作は、心が躍った。
「いいえ、惑星とは違います」
「では、何処なのです?」
「兄さん、ここは極楽浄土です」
「ええっ、私は死んだのですか?」
「はい、そんなご大層な乗り物に乗って来んでも、死んだらスーパーテレポーテーション(瞬間移動)で、易々とここに来ることが出来ますのに」
(修正) (原稿用紙4枚)
叶作の夢は、この小さい地球を飛び出し、宇宙の彼方で知的生命体と遭遇することである。叶作は、巨額をかけて叶作一人が乗れる宇宙船を完成させた。この宇宙船は、光速の2倍の速度で推進するが、1年かけても高だか2光年の距離にしか達することが出来ない。そこで無重力圏に達すると、自分を冷凍して生命を維持することが出来、知的生命体センサーにより目的の惑星に到着すると解凍するように設計したのである。
操縦はコンピューターに任せ、障害物や恒星を避け、惑星であっても高温や低温過ぎるものを察知して避ける。実は、この宇宙船は、地球へ戻ることは考えていないので、水や食料などは積んでいない。
叶作は宇宙に飛立った。やがて眠りに就き、叶作のからだは冷凍された。冷凍の間は時間が無いので、叶作の宇宙船は「あっ」と言う間に惑星の海に浮かんだ。
やがて地球の海上巡視艇にそっくりな船が近づき、拡声器で何やら叫んでいる。叶作は宇宙船のハッチを開き外へ出てみた。
「おーい、そこの兄ちゃん、大丈夫か、どこから来たんや」
日本語で、しかも大阪弁である。
「あれっ、ここは地球ですか?」
「兄ちゃん、当たり前や、地球やで」
まるで「猿の惑星」である。叶作の宇宙船は、後戻りして地球に戻っていたのだ。
「そうか、知的生命体センサーは付けたが、地球を標的から外すのを忘れていた」
二度目は準備万端、これで何処までも進めると、叶作は納得がいくまで機能を追加し、点検をした。地球を出発し、大気圏を突破すると、叶作は眠りに就いた。
「もしもし、お兄さん起きておくなはれ」
また、大阪弁だ。あれだけ納得をして発射したのに「またもや失敗か」と、叶作はがっかりした。
「ここは地球ですよね」
「いいえ、違います」
「地球ではない? では、地球にそっくりな惑星かな?」
叶作は、心が躍った。
「いいえ、惑星とは違います」
「では、何処なのです?」
「兄さん、ここは極楽浄土です」
「ええっ、私は死んだのですか?」
「はい、そんなご大層な乗り物に乗って来んでも、死んだらスーパーテレポーテーション(瞬間移動)で、易々とここに来ることが出来ますのに」
(修正) (原稿用紙4枚)