ないない島通信

「ポケットに愛と映画を!」改め。

HACHI 約束の犬

2019-08-21 11:28:33 | 映画

 

(これは2018年2月22日の記事です)

今日はにゃんにゃんにゃんで猫の日だそうですが、ちょっとあまのじゃくして、犬の映画を紹介します。

「HACHI 約束の犬」(ラッセ・ハルストレム監督作品 2009年公開)

私はこの映画が大好きでもう20回くらいは見ています。
4年前にセブの英語学校で先生がくれた映画の中の一本で、ドミトリーで毎晩のように見ていました。

当時は(日本語字幕なしだったので)意味不明のところもあり、帰国後DVDなどで確かめてそういう台詞だったのね、と納得したのですが、何よりこの映画がいいのは、主人公のハチという犬の視点で描かれた愛情物語である、という一点に尽きます。

ラッセ・ハルストレム監督はこの他に「ギルバート・グレイプ」「サイダーハウス・ルール」「ショコラ」「親愛なる君へ」「セイフ・ヘイブン」「砂漠でサーモンフィッシング」など多くの作品がありますが、私の好きな監督の一人です。

「HACHI/約束の犬」は日本の忠犬ハチ公をモデルにしたフィクションで、アメリカのベッドリッジという架空の田舎町が舞台です。
音楽大(orアートスクール)の先生をしているパーカーがある日、駅で迷子の子犬を拾うところから物語は始まります。

パーカーは大の犬好きで、最近、飼っていた犬が死んだばかり。奥さんは彼がまた犬を飼う気でいるのでは、と心配しますが、彼はその子犬にすっかり夢中になります。どうやら日本から来た秋田犬らしいと同僚(日本人)が教えてくれます。

――君が彼を見つけたんじゃなくて、彼が君を見つけたのかもしれないよ。

と同僚がいいます。

音大の教授をしているパーカー、建築デザイナーの妻、美人の一人娘・・
いわばセレブの家族の話ですが、彼らの関係は至極良好で家族間の葛藤もなく、シンプルで余計なものが一切ない物語です。
つまり、人間特有の葛藤や桎梏を取り入れない、どこまでも犬目線のストーリーなのです。

それが何よりいい。
人間は余計なものを持ちすぎているから。

前半はパーカーとハチの愛情あふれた関係が描かれますが、それが突然絶たれます。

パーカーは大学の講義中に心筋梗塞を起こして亡くなってしまうのです。でも、ハチにはそれがわからず、駅前でパーカーの帰りを待ち続けます。

そして、10年という年月が過ぎていきます。
元気だったハチはやがて年老いてやつれていきます。この辺り、犬の演技も見事なもので、一体どうやって犬にしつけたのかと思うほどです。

そうやって長の年月が過ぎ、ハチはパーカーの帰りを待ちわびたまま駅前で死んでいく、というのがこのストーリーのすべてで、最後は号泣ものです。

犬を飼ったことがある人なら誰しも心当たりがあるはずですが、犬のこの忠実さ、どこまでもまっすぐな愛情は、見ていていたたまれなくなるほどです。動物にはあるこうしたシンプルな愛情表現がなぜ人間にはできないのか。どこまでもまっすぐに人を信じるということがなぜこうも難しいのか。見るたびに考えさせられますが、

それは、犬だけではなく、飼い主であるパーカーの愛情そのものにも理由があったのではないか、犬は飼い主の愛情を敏感に感じ取る生き物でそれに応えようとしただけなのではないか。これだけ愛されれば10年だって待てるかもしれない、というのが今回思ったことです。

もちろん、犬に限らず猫だってハムスターだってオウムだって金魚だって、ペットとして飼うからには、愛情をいっぱい注いで最後まで世話をするのは当たり前のことですが、それさえなかなかかなわない人間の側の事情もあります。そんな中で、それでもやっぱり生き物同士、愛しあわないといけないよね、というメッセージがダイレクトに心に伝わります。

だからこそ、繰り返し何度も見たくなる映画になっているのですね。
まだ見てない方、犬好きな方はぜひ、ハンカチをご用意の上鑑賞してください。

コメント
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