【MOVIE】
監督 ジェーン・カンピオン
監督 濱口竜介
監督 ジェームズ・ガン
監督 ドゥニ・ヴィルヌーヴ
監督 レベッカ・ホール
監督 ローズ・グラス
監督 ジョン・M・チュウ
監督 パオロ・ソレンティーノ
監督 アダム・マッケイ
10、『最後の決闘裁判』
監督 リドリー・スコット
今年も(頑なに)2021年初公開を基準に選定している(『セイント・モード』の衝撃に、例外的に第6位の選出をした)。選外の作品については上半期ベスト10の頁も合わせて参照してもらいたい。他、下半期からは『プロミシング・ヤング・ウーマン』『17歳の瞳に映る世界』『オスロ』『すべてが変わった日』『モンタナの目撃者』『さよなら、私のロンリー』『アナザーラウンド』『社会から虐げられた女たち』『コレクティブ 国家の嘘』『ワールド・トゥ・カム 彼女たちの夜明け』『フィンチ』『ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償』の名前を挙げておきたい。
熱狂できた作品は少なく、全体的に不作だった印象は拭えない。コロナショックによって公開延期となった『ブラック・ウィドウ』や『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』は2010年代のエピローグに過ぎず、『ウエスト・サイド・ストーリー』は12月から2月へ公開延期、『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』は本国から遅れること約1ヶ月の公開日設定となり、“正月映画”という言葉も完全に滅んだ。洋画興行の苦境は深刻さを増し、『ザ・スーサイド・スクワッド』や『最後の決闘裁判』、『モンタナの目撃者』らが短期間で劇場から静かに姿を消したのは非常に残念だ。オスカーを獲得した『ユダ&ブラック・メシア』に至っては劇場公開はおろか、6月に“DVDレンタルのみ”という石器時代のようなフォーマットでリリースされ、配信が開始されたのはそれからさらに約半年を経た2022年1月の事である。インターネットとSNSの時代において新作映画の“賞味期限”が狭まっている今、日本の配給各社は公開のスピードについて再考する必要があるのではないか。今のやり方ではブームを作ることはできない。2022年1月7日、『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』の初日を見終えた時、僕は高揚と共に「オレはこんなお祭りに1ヶ月も乗り遅れたのか」と寂しさがこみ上げた。
【アメリカ映画は次の時代へ】
連帯と蜂起、そして分断の2010年代を終え、アメリカ映画は静かに次のフェーズへと入りつつある。中でもアメリカが文化、社会、政治あらゆる面で飛躍した1920年代を舞台とする2作が強く印象に残った。『パワー・オブ・ザ・ドッグ』をトキシックマスキュリニティの解体という視点だけで語るのは勿体ないだろう。ベネディクト・カンバーバッチという人気演技派スターを迎え、歪で恐ろしく、しかし目の離せない求心力を持った人物を映画の主人公に据えたのはなぜか?レベッカ・ホールの素晴らしい監督デビュー作『PASSING』で終幕、ヒロインはなぜ咄嗟にあんな行動を取ったのか?人間の不可解さと、きらびやかな発展の裏で置き去りにされた人々の孤独に強く惹きつけられた。
政治的正しさを標榜してきたアメリカ映画は今、その先に赦しと共存を描こうとしている。『ドライブ・マイ・カー』のアメリカの映画賞席巻は、その空気に呼応した結果だろう。テキスト(脚本)とメソッド(演出)の前に身をさらけ出せば人は言語、人種の壁を超え、異なる意見を持つ者同士が共存することができる。そんな演劇の根源を描いた本作がハリウッドの俳優達に支持されることは間違いなく、来るアカデミー賞でも大いに注目を集めるハズだ。知的好奇心を刺激する『パワー・オブ・ザ・ドッグ』『ドライブ・マイ・カー』の登場に興奮し、(ちょっとズルいが)同立1位という順位を付けた。ちなみに記録を付け始めてから日本映画が1位になったのはこれが初めての事である(アメリカ映画が好きなので、只々見ている日本映画の数が少ないだけです。スイマセン)。
TV SHOW
監督 バリー・ジェンキンス
1、『真夜中のミサ』
監督 マイク・フラナガン
監督 ルカ・グァダニーノ
監督 レニー・アブラハムソン、他
5、『メイドの手帖』
製作 モリー・スミス・メッツラー
監督 ギャレス・エヴァンス、他
監督 クレイグ・ゾベル
監督 ハガイ・レヴィ
製作 ブレンダン・ハント、他
製作 ケヴィン・ファイギ、他
次、『ユーフォリア トラブルはずっと続かない』『シーブロブじゃない人なんて**くらえ』
監督 サム・レヴィンソン
2021年に全話視聴した“完走”を条件に選出している。そのため不作気味の映画に対し、マイフェイバリットが並んだ。TVシリーズはリアルタイムで追い切れないので、好きなタイミングで見るのが一番である。あわせて2021年日本リリースを条件にベスト10を選出したリアルサウンドの記事も御覧頂きたい。
【ベストアクト】
■ジョディ・カマー『フリー・ガイ』『最後の決闘裁判』
■ケイト・ウィンスレット『アンモナイトの目覚め』『メア・オブ・イーストタウン』
■テッサ・トンプソン『PASSING』
■ゼンデイヤ『マルコム&マリー』『ユーフォリア スペシャルエピソード』
■ラキース・スタンフィールド『ユダ&ブラック・メシア』『ザ・ハーダー・ゼイ・フォール』
■ベネディクト・カンバーバッチ『パワー・オブ・ザ・ドッグ』
■オスカー・アイザック『ある結婚の風景』
ジョディ・カマーは映画女優として飛躍の1年になった。作品毎に成長著しいテッサ・トンプソン、ますますスターとしての貫禄を増していくゼンデイヤら若手が頼もしい一方、ケイト・ウィンスレットはここに来て新境地を開拓である。カンバーバッチはこれ以上ない難役をモノにし、2021年を代表する名演となった。いつだって素晴らしいラキース・スタンフィールドに魅せられ、そしてオスカー・アイザックの体現する男の弱さに涙した。
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