夏木広介の日本語ワールド

駄目な日本語を斬る。いい加減な発言も斬る。文化、科学、芸能、政治、暮しと、目にした物は何でも。文句は過激なくらいがいい。

超高層ビルで人類の思い上がりを知った

2009年11月02日 | 文化
 テレビで上海の超高層ビルの窓と壁の清掃の仕事をしている若者達が紹介された。まさに「スパイダーマン」の名がぴったりの決死とも言えそうな仕事だ。それにしても、デザインを優先したのか、変な形のビルが多い。だから仕事は至難らしい。
 上海は世界一番の超高層ビルだらけの街だと言う。何でそんなに高い建物を建てたいのか。限られた土地に出来るだけ多くの床面積を持たせたいとのせこい考えに尽きる。そんなにも金儲けがしたいのか。そして、土地を持てば、その上空はすべてその土地の持ち主の物になるのか。そうじゃない。上空は昔は鳥達の生活区域だったはずだ。人類は大地にはいつくばって生きて来た。それなのに、他の生物の領域を平気で侵略している。
 カナダだったか、全面ガラス張りのビルのせいで、渡り鳥が空だと思って衝突して死ぬ。当たり前だ、そんな所に進路を遮る物があるなどとは思いもしない。
 上海の風景をテレビで見るたびに、嫌な所だなあ、との思いしか私には浮かばない。あくなき欲望を目の前に突き付けられた気がする。それは日本にしても同じ事。パリを始めとしてヨーロッパの都市の景観を見るたびに羨ましさを感じてしまう。低層の美しい街並。それで十分に都市の機能を果たせている。
 ドイツにはバッハが暮らしていた家が健在している。それはほんの一例に過ぎない。そしてそこで人々は暮らしを立派に成り立たせている。実質的に見れば、日本より数等上だろう。

 人類はいつの時からか自らの道を踏み誤ってしまった。人類がこの地球の最高の生き物だと慢心してしまった。人類など、地球にとっては単に様々な生物の一つに過ぎない。ホーキング博士は、視認出来る限りの宇宙には地球と同じ程度の文明の発達した星は200万はあると言っている。それなのに宇宙人と遭遇しないのは、地球のような文明の進んだ星は加速度的に不安定となり、自滅消滅してしまうからだ、と言う。
 あと何十年も経たない内に地球の気温は上がり、陸地の大半は水没し、内陸は乾燥地帯になってしまうと考えられている。それはすべて人類の思い上がりの結果である。かつて、どの生物も地球をこのような破滅の情況に導いた事は無かった。自らは消滅しても、地球を消滅させる事だけはして来なかった。
 地球を消滅させるその象徴が超高層ビルの建設だと私には思える。上海の超高層ビルの姿を見て、日本のビジネス業界と建設業界は手本のように思っているに違いない。彼等はじきにあの世に向かうのだろうからいいだろうが、残された子供や孫達はどうなる。全く目先の事しか考えない輩がうようよしているから、どうにもならない。

●曇り空には千変万化の表情がある
 朝食を摂りながら窓の外を眺めた。今朝は曇りだ。我が家はいささか眺望には恵まれていて、視界は180度、その上半分はすべて空になる。そこには様々な形と色合いの雲がある。単に灰色の濃淡に過ぎないはずなのに、その濃淡の微妙で美しい諧調に改めて驚かされた。何しろ広いから、ありとあらゆる諧調と形が繰り広げられている。今まであまり曇り空をしみじみと見た事が無かった。曇り空なんて嫌な物だとばかり思っていたからだ。青空に浮かぷ鰯雲や筋雲などには見とれる事があるが、曇り空には魅力を感じなかった。浅はかだった。
 超高層ビルに憧れる人達には、この曇り空の美しさは多分通じまい。