夏木広介の日本語ワールド

駄目な日本語を斬る。いい加減な発言も斬る。文化、科学、芸能、政治、暮しと、目にした物は何でも。文句は過激なくらいがいい。

いい加減な出版社、ディスカヴァー・トゥエンティワン

2008年09月17日 | Weblog
 原稿を募集していると宣伝している出版社が幾つもある。その内の一つに「ディスカヴァー・トゥエンティワン」がある。いわゆる取り次ぎを通さずに書店と直接契約して販売している。だから近所の書店では手に入らない。都心の大手の書店、それもどうも数が限られているらしい、そうした店でしか手にとって見てみる事も出来ない。それだけ、内容に自信を持っているのだろう。
 その同社に原稿を送って、わずか三日目に編集者から電話があって、「面白い」と言ってくれた事を8月の初めにこのブログで書いた。「他社にも見せているといけないので、早めに御連絡しました」との言い方で、私は脈があるな、と判断した。そしてもちろん、どこにも見せてはいない。
 ところが、3週間ほど経って、当社には合わない部分がある、との電話が来た。ビジネス書専門の同社なので、幾つかの項目が合わないと言い、具体的に二つばかりの名前を挙げた。ではそれはやめて、別の物に代えましょう。どれが駄目なのか教えて下さい、と私は言った。
 だが、梨のつぶて。仕方が無いので、自分で判断して、新しく書き換えた原稿を送った。それは8月25日に同社に着いている。でも相変わらず無言である。多分検討に時間が掛かるのだろう、と考えてずっと待っていた。それでも返事が無い。インターネットの時代である。私はファックス番号もメールのアドレスも明記してある。
 仕方がないから、ファックスを送った。駄目なら駄目と言ってくれと。それでも無言。馬鹿な私は忙しいのかも知れない、などと考えて、更に原稿を書き直した。それは9月9日に同社に着いている。
 
 「他社に見せているといけないので」と言って、つまりはおいしい餌をちらつかせてお預けを食らわしておいて、ずっと「待て」なのである。飼い犬だって怒るよ。
 きょう、9月17日、最初に返事をもらってからなんと一カ月半も経っているが、電話をした。結局、「散漫なので、駄目です」との返事である。ずいぶんといい加減ではないか。散漫だと言うのなら、それは最初から分かっていたはずだ。そうか、出だしは良かったが、後半が散漫なのか。でもそれならそうと、改善策を提案してくれたっていいじゃないか。 同社のホームページでは、同社で本を出した人の感想が載っている。編集者があれこれと注文を出し、それに自分も真剣に応えて本が出来上がった、とある。そうだろう。それが編集者の仕事である。だからこそ、私は良い内容の会社だな、と思ったのである。

 だが、それはホームページのいんちきだった。そうだろう。わずか一人か二人の人にしかしていない事を麗々しく書き立てているのである。私の原稿が箸にも棒にもかからないような物なら、こんな事は言わない。だが、「面白いですね」と感心して、関心を持ってくれたのである。まだ全部読んではいないので、これから夏休みを取るけれども、その間に読みますと言ったのである。
 そしてホームページを見れば分かるが、同社の出版物はビジネス書だけとは限らないのだ。教育的な書籍だって出している。こうなって来ると、ホームページがいかがわしく思えて来る。
 そうか、3週間経って返事をくれた時に、既に本にはならないと、結論を出していたに違いない。それを私が駄目な部分は書き直しましょう、と言ったのがいけなかったらしい。でもそれなら、いや、そうではなく、書き直しても駄目なんです、となんではっきり言わなかったのか。面白いと言った手前、はっきり言えなかったのか。自分の面目に関わるから言葉を濁し、他人に大きな迷惑を掛けて平然としている。

 企業は人なり、と言う。会社が素晴らしいのではない。社員が素晴らしいのだ。今は正規の社員ばかりではないだろうから、言うならば、全従業員が素晴らしいから、素晴らしい会社になるのである。頑丈な堤防もありの一穴から、と言う。私はこうしたいい加減で無責任な社員が居る会社の将来は危ういと思う。だって、そうでしょう。他社に見せているといけないので、早めに連絡した、とこちらに手枷足枷をはめておいて、一カ月半も知らん顔を決め込んだのである。私が電話をしなければ、一体、いつになったら返事をくれたのか。そもそも返事をくれるつもりさえあったのかどうか。
 これは編集者の素質云々を言う以前の問題である。人間性の問題である。他人の気持をまるで考えていない。そうした駄目な人間を社員に抱えている出版社が、この先、本の売れない時代にどのように対処して行くのかじっくりとお手並みを拝見するつもりである。私は同社の書籍を買うつもりは毛頭無いが、広告だけはしっかりと見て、どんな内容の本を出しているのかを見て行きたい。
 そしてもう一言。軽々しく「原稿募集」などと言うな。そこには、どうせあんたがた、売れない原稿を抱えてるんでしょう。それなら私どもが見て上げますよ、と言っているのと同じである。人の弱みに付け込んで、あわよくば一儲けしようとの魂胆がありありと見える。出版権は当社に帰属する、などと自分の事ばかり言っている。出版とはそんなちゃちな物ではない。きちんと信念を持たなくては出来ないのである。
 原稿を送る側だって、あちこちに転がっている原稿を送るのではない。血のにじむような思いをして、時には寝食も忘れて熱心に取り組んだ人だっているのである。私だって、同社に向くようにと、一度出来上がった原稿を全部書き直したのである。それに一体何日掛かったと思っているのか。馬鹿にするにも程がある。「21世紀を発見せよ」と言う社名だが、21世紀って、そんなもんなんでしょうかねえ。それに誰に対して命令形なんだろうね。もし自社に対してなら、「ディスカヴァー・マンカインド」なんかに変えたら如何だろうか。言うまでもなく、「マンカインド=人間」である。

 自社の書籍の広告で「出版に値する優秀な原稿を探しています」と言っている出版社がある。ホームページには「3週間以内に全員に書面でご返事を差し上げます」とある。原稿も返却してくれる。私はこの原稿をまたまた書き直して、同社に送ってみようと、今日からその作業を始めます。しばらくの間、ブログがちょっと手抜きになるかも知れませんが、何卒お察し下さい。