夏木広介の日本語ワールド

駄目な日本語を斬る。いい加減な発言も斬る。文化、科学、芸能、政治、暮しと、目にした物は何でも。文句は過激なくらいがいい。

著名雑誌が相次いで廃刊

2008年09月13日 | Weblog
 著名な雑誌が廃刊になる。販売部数が落ちているからだと言う。8万部でも駄目らしい。雑誌は広告で持っていると聞く。だから、8万部では広告が入らないのか。
 でも、たとえ広告収入が無いとしても、8万部も売れれば元は取れるのではないか、と素人の私は思う。1000円の定価の本は5千部でトントン、との話を聞いた事がある。書店が2割、多分取次が1割、出版社の卸価格は定価の7割だとしよう。1割は原稿料、1割は印刷代として、これで残りは5割。その内の3割が出版社の経費で、最後の2割が利益になる。
 とまあ、知らないから大胆に割り振ってみた。

 1000円×5000=500万円。
 50万円=原稿料
 50万円=印刷代
 150万円=経費
 100万円=利益
 この利益の100万円は無くても出版社は潰れない。経費はきちんと賄われている。もしも、その出版物が世のため人のために出しているのなら、利益は度外視しても良いはずだ。それが出版の意気と言うものだ。
 これを雑誌に置き換えてみる。廃刊になる雑誌は一冊500円はするだろう。2万部売れると仮定しよう。
 500円×20000=1000万円
 原稿料は100万円。著名な執筆者は10人くらいとして一人10万円。まあ、馬鹿高くはないが、安過ぎるとも言えないのではないか。我々庶民から見れば、それでも結構なお値段に思える。
 印刷代にしても、100万円もあれば十分印刷は出来るのではないか。例えば全部をDTPで作るとしよう。編集などの作業は抜きにして、純粋に組版制作だけなら、多分、10万円くらいしか掛からないだろう。実際に私などが下請けで受けるとすれば、そのくらいで御の字である。それだって1ページ単価は500円になる。そして実際にはもっとずっと安いはずだ。
 出版社の経費は300万円。編集者が何人要るのか知らないが、十分にやって行けるはずだ。利益抜きなら、もっと売れなくても採算は取れるだろう。

 と、つまらない、あまり確実でもなさそうな想像を繰り広げてみたが、この世の中は、何でも、あまりにも利益を追い求め過ぎはしないだろうか。特に出版は単なる利益目的の事業ではないはずだ。それこそ、本当に世のため人のためとの高邁な理想を掲げて出発したはずなのだ。
 岩波文庫の「読書子に寄す」には次のようにある。
 世間の一時の投機的なるものと異なり、永遠の事業として吾人は微力を傾倒し、あらゆる犠牲を忍んで今後永久に継続発展せしめ、もって文庫の使命を遺憾なく果たさしめることを期する。

 これは岩波文庫に対しての思い入れではあるが、どの書籍、雑誌にも共通する理念である。ところが、近年は多くの出版社がベストセラーを狙う。内容はともかく、売れさえすれば良い、との方針を打ち出している。まあ、そのようには言わないが、内容を見ればそれは一目瞭然。何でこんないい加減な本が売れるのか、と呆れてしまうが、仕方が無い、それが世の中の情況なのである。
 だからベストセラーが生み出せなくなれば、途端に倒産と相成る。売れなくてもやって行ける力をもっと付けるべきではないのか。利益だの採算だのと言っていれば、庶民なんか、とっくの昔に死んでるよ。
 出版がそうであるから、他の企業の本当にみっともない事よ。特に食品の、何をしてでも儲けるとの根性には、ただただ感心してしまうしか無い。他人の健康を犠牲にしてまで儲けたいとのその思いは一体どこから生まれたのだろう。
 どこかの食品製造メーカーの社長は自社の製品は絶対に使わない、との無責任な噂を耳にしてからは、私はうん、さもありなん、と思って、以後、その会社の製品は一切買っていない。どんなに安売りをしていても買わない。
 そんな事言ったって、あんたの使っている製品だって怪しいもんだ、と言われても仕方が無い。結局、見ぬ物清し、なのである。嫌な世の中になったもんだ。すべて疑心暗鬼じゃないか。自分しか信じられない(家族だって信じられない人間が存在する)、そんな世の中に一体誰がしたんだ。

 こうした場合、歴史を少しずつ戻して見ると分かるのではないか。現・福田総理の前は阿倍さんで、その前は小泉さん、その前はとさかのぼって行くと、
森、小渕、橋本、村山、羽田、細川、宮澤、海部、宇野、竹下、中曽根、大平、福田、三木、田中、佐藤、池田、岸、石橋、鳩山、吉田、芦田、片山、吉田、と戦後初代の内閣総理大臣にまで行き着く。
 うん、あの頃まではまだ良かった、などと言う思いがあるのではないだろうか。そして、そうだ、あの総理大臣の頃からおかしくなったんだ、と思い当たる節があると思う。この連休中に考えてみる価値はあると思う。そしてその答を聞かせてもらえれば、嬉しいのですが。