『はじめての行政法』(有斐閣アルマ)を読みました。ケース(事例)が充実しており、事例に即して解説されています。とても分かりやすく、まさに「はじめての」にぴったりな本でした。
1つ、行政罰の効力について。あまりに貧乏人には効果がなく、逆にあまりに金持ちにも効果が薄いと書かれていました。
たとえば、「路上喫煙したら10万円の罰金」という行政罰を行政立法で作り、厳密に取り締まるとする。
あまりに貧乏人は、開き直り、「取れるものなら取ってみろ」と言う。行政は、無理には取れません。議会による立法(条例)でなく、行政立法だから、あまり強権に出られないからです。逆に金持ちは、10万円くらい、どーってことない。簡単に支払う(そんな人いるか?と疑問ですが、モデルですからご容赦ください)。
平等や公平というのは、難しいなぁ、と思いました。
もう1つ。この15年来の行政改革について。司法制度改革や市町村合併、一連の地方分権の流れ。これは、従来の「公共と私人」という概念が崩れ、両者の融合・協働が始まっていることだ、と書かれていました。
裁判員制度も、「従来は公が担っていた部分に、私を参加させよう」という趣旨です。この趣旨の制度改革は、NPO関連法制の充実、指定管理制度、その他いっぱいあります。(「公・私」の融合については、同書「終章」「あとがき」より)
同書は(冷静沈着な)テキストですが、次代を担う若い人向けへの(熱い)メッセージでもあると感じました。はじめて行政法を学ぼう、行政について知りたい、という方は、ぜひ。
駐輪していた自転車を撤去された恨み。まず敵を知ろうと学び始めた行政ですが、なかなか面白いです。
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