壁際椿事の「あるくみるきく」

東京都内在住の50代男性。宜しくお願いします。

『行政法入門』

2011年09月28日 | 読書(ノンフィクション、実用)

行政の行動には、私人同士の行動とは違ったルールがあります。たとえば、私人同士だと、お金の貸し借りをして、相手が返してくれない場合、強制的に相手から取り上げられません。裁判所に訴え、裁判所によって強制執行してもらわないとならない。これを「自力救済の禁止」というそうです。

でも、行政と私人との間は、違う。たとえば、私人が税金を納めないとき、行政(税務署)は裁判所に訴えずとも、自ら強制徴収することができます。これを「執行力」というそうです。

(以下引用、一部カナを漢字に改めました)
たとえば、動物も植物も同じように、個体を成長させまた子孫を残す能力を生まれながらに与えられているわけで、この点での違いはないわけですが、動物は、食料を探しまた危険から逃れられるように、飛んだり走ったり泳いだりする特別の力をさらに持っているわけで、これは植物には原則としてないものですね。(中略)

行政行為は、私人の法律関係にはないさまざまなの特殊の効力を有している。そうして、このような意味での特殊の「効力」としては、執行力、不可争力、公定力、不可変更力、などが理論的に認められてきました。いわば先の例で、動物が特に持っている飛翔力、走力、跳力、泳力などに対応する、ということになりましょうか。

(行政による規則違反者の名称公表に関して)子供のころに、なにか悪いことをして、先生に「○○君はこういう悪いことをしました。皆さんはそんなことのないようにしましょう」などとみんなの前でバラされて、とても恥ずかしい思いをしたような経験はないでしょうか。(行政が行う)「公表」というのはこれと同じで(後略)(引用終わり)

『行政法入門』(藤田宙靖著、有斐閣)を読みました。

著者は、奥付によると、最高裁判所判事で、東北大学の名誉教授。そんなイカメシイ方が、こんなオチャメなたとえ話をするとは。驚きであると同時に、楽しく読めます。

いずれにせよ、楽しいたとえ話と、かんで含める丁寧な解説で、とても理解しやすかったです。初めて行政法を学ぶ方は、ぜひ。


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