壁際椿事の「あるくみるきく」

東京都内在住の50代男性。宜しくお願いします。

『経済学的思考のすすめ』

2011年09月28日 | 読書(ノンフィクション、実用)

経済学的な発想法を学びたく、この本を手に取りました。『経済学的思考のすすめ』(岩田規久男著、筑摩書房)。

著者は大学の経済学の先生で、これまでも多くの経済学の基本書を出されています。その中には、手軽な新書もあります。同書はタイトルどおり、経済学的な発想から、日本の経済政策を見る目を説くものでした。しかし、一つ、非常に違和感を覚えたことがあります。

それは、同書の中で、執拗に、ある特定の「シロウト経済学者」及びその著書を実名を挙げ、批判している点です。シロウト経済学者は、著者による造語。テレビキャスターなどお茶の間に顔が売れている人で、まともに経済学を学んでいないのに、経済現象について学者っぽいコメントをする人だそうです。

なぜ、(自費出版でなく)一般書店売りされる書籍で、名誉毀損で訴えられるリスクを秤にかけても、あえて特定人を批難する行動に出たのか? 理由を考えてみました。

1)純粋に、シロウト経済学者の言うことに、テレビの視聴者や彼の著書の読者が惑わされることを危惧したから。
2)シロウト経済学者の出す本は売れているのに、自分の本は売れていないため、嫉妬したから。
3)部外者にはうかがい知れない、私怨があるから。
4)名誉毀損については、経済「学」的な正しさに自信があるので、法廷闘争は怖くないから。
5)その他。

もう一つ考えてみました。それは編集者(出版社)の存在です。編集者は、当然、内容のすり合わせ、確認、軌道修正などをしたと思われますが、にもかかわらず、特定人への批難が強調された原稿が、本になった。なぜか?

1)編集者が怠慢で、もらった原稿をチェックせず、「右から左」だった。
2)あえて、論争のタネをまくことで話題を作り、本が売れると考えた。
3)著者が強く「この内容で行きたい」と主張し、折れた。この場合、著者及び出版社を相手に訴訟を起こされても、出版社には責任が無い旨、特約が結ばれていると思われます。
4)会社として、著者に弱みを握られており、言われるがまま本を出さざるをえなかった。現に著者の本は、筑摩書店から幾冊か出ています。
5)その他。

もう一つの可能性も考えられます。つまり、シロウト経済学者もグルで、先の2)のように、「あえて論争のタネをまくことで話題を作り、本が売れる」と考えたのかもしれません。現に、ぼくは「内容を読み比べてみよう」と思いましたから。

「あるくみるきく」読者の皆さま、ほかにも考えられる理由があれば、お教えください。

いずれにせよ、経済学の勉強というよりは、別の読み方を楽しめた本でした。



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