壁際椿事の「あるくみるきく」

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『国家の品格』、原点を固めよ

2011年01月13日 | 読書(文芸、フィクションほか)
遅ればせながら、数年前のベストセラー、『国家の品格』(藤原正彦著)を読みました。著者は、作家の新田次郎のご子息で、数学者。20~30代は、アメリカとイギリスの大学で教鞭をとられた経験もある国際派です。

右に三つ、左に四つ。さらに左に五つ……。こういう論理で話を展開していくと、座標軸上で、正しく、どこかにたどり着ける。論理です。

しかし原点を、どこに定めるか。数学であれば、原点は容易に定まりますが、人事においては何をもって原点とするか。難しい問題です。この原点が誤っていれば、その後の論証がいくら正しくとも、結果は正しくならない。

著者は、その原点こそ武士道の精神にある、と説きます。武士道の精神とは、弱きを助け強きをくじく心。惻隠の情。卑怯を憎む心などです。武家社会に限らず、広く日本という社会風土が育んできた心根でしょう。

表現は平易で、スラスラ読めました。自らの生き方に自信が揺らいだ時、ぜひ。