両王手14
藤堂言うところの暴走青年はその頃何をしていたかというと、神舟の電池を通信システムにつないで交渉を続けようと四苦八苦していた。
神虎の通信システムのパネルを剣でこじ開けコードをむりやり引っ剥がす。ラクシャータに見られれば病死するより先に、打ち殺されそうな事を星刻はせっせとやっていた。
システム自体は理解できるとはいえ、神舟は3世代近く前の遺物だ。使われている言葉すら今とは異なる。当時は繁字体という筆文字から作られた字体が使われていた。文化革命の後略字体になり、さらに簡字体になり、さらに最近は発音体というアルファベットを利用した文字に変わっている。
幸い星刻は古代文字に通じていたからなんとか解読できるがそれでもさらさらとはいかない。それに古代文字を読むことは星刻にとって引っかかりのある記憶に繋がる。
少年だった星刻に教養として語学や古代知識を叩き込んでくれたのはあの高亥であったから。それは文字通り、ムチで叩き込まれたのだ。
いまだに納得がいかない。なぜあの高亥があんな形で裏切ったのか。あの男は権力を手にするため自らほんものの宦官となった。星刻を手元に置いたのも利用価値のある手ごまとしてだけだ。
少なくとも星刻はそう考えている。
(今はあの男のことどころではない)
軽く頭を振って星刻はまたシステムに意識を集中した。
だが、後になってみればこのとき星刻はあの男のことをもっと考えるべきだった。そうすれば天子が朱王朝の血をまったく引いていない可能性に彼ならばたどり着き、対策を立てる暇もあったのだから。
藤堂言うところの暴走青年はその頃何をしていたかというと、神舟の電池を通信システムにつないで交渉を続けようと四苦八苦していた。
神虎の通信システムのパネルを剣でこじ開けコードをむりやり引っ剥がす。ラクシャータに見られれば病死するより先に、打ち殺されそうな事を星刻はせっせとやっていた。
システム自体は理解できるとはいえ、神舟は3世代近く前の遺物だ。使われている言葉すら今とは異なる。当時は繁字体という筆文字から作られた字体が使われていた。文化革命の後略字体になり、さらに簡字体になり、さらに最近は発音体というアルファベットを利用した文字に変わっている。
幸い星刻は古代文字に通じていたからなんとか解読できるがそれでもさらさらとはいかない。それに古代文字を読むことは星刻にとって引っかかりのある記憶に繋がる。
少年だった星刻に教養として語学や古代知識を叩き込んでくれたのはあの高亥であったから。それは文字通り、ムチで叩き込まれたのだ。
いまだに納得がいかない。なぜあの高亥があんな形で裏切ったのか。あの男は権力を手にするため自らほんものの宦官となった。星刻を手元に置いたのも利用価値のある手ごまとしてだけだ。
少なくとも星刻はそう考えている。
(今はあの男のことどころではない)
軽く頭を振って星刻はまたシステムに意識を集中した。
だが、後になってみればこのとき星刻はあの男のことをもっと考えるべきだった。そうすれば天子が朱王朝の血をまったく引いていない可能性に彼ならばたどり着き、対策を立てる暇もあったのだから。