両王手15
手抜きのようだが、この先の歴史の大嵐に星刻は直接かかわれなかった。神虎のなかでブリタニアを脅す事に手一杯だったからだ。もちろんそれは歴史を動かす大きなコロであったが、現場を離れていた事は否定できない。
第2皇子が宰相として参戦したことにより、オデッセウスの革命は一気に進んだ。それは廃嫡された異母弟ルルーシュの理想とは少しずれていたが、皇帝の侵略主義を否定するものであることは事実である。
独立を目指すエリアはこぞって新王即位と宰相に祝意を述べた。また、皇帝のブリタニアに不満を持つ勢力も新王体制に接触してきた。その中に黒の騎士団もあった。
宰相の部屋を兄である王は自ら先触れすら連れず訪れた。
「陛下、ご連絡を下されば私が参りますが」
「うん、いやシュナイゼルは忙しいだろう」
兄は人のいい顔で弟をねぎらう。
そしてふと弟の部屋の奥の壁に掛けられた絵に気が付く。
「あれは、ルルーシュだね」
それは死んだクロビィスの作品。マリアンヌとルルーシュとナナリー、幸福な時間の結晶。
「ルルーシュは賢い子だった。ルルーシュが生きていれば世界は今のようではなかっただろうね。」
凡庸な兄は何も知らないままなのに、的を得たことを言う。
天才政治家である弟は表情に出さず思う。
ルルーシュが世界をここまで変えたのですよう。だが、もう、世界は変わらない。
ルルーシュには世界を変える理由が無くなったからです。
空っぽになった世界をそれでもシュナイゼルは操る。シュナイゼルにはそれが可能だから。
世界はブリタニアが2つに分かれることで大きく揺れた。皮肉だが、勢力が2分されたことで逆にブリタニアは影響力を強めた。
今、世界の主役はシュナイゼルであった。世界はそう思っていた。だが、シュナイゼルの思う主役達はまだ動いていた。その主役達とは世界を壊した魔王、その剣。
少年2人。
皇帝はシュナイゼルの動きを無視していた。当然、オデッセウスなど視界にすら入っていない。
皇帝はただ一つのことを成し遂げようとしていた。人類を永遠に幸福であらすために。
少年達はその皇帝を追って、海を渡った。皇帝の望みを絶ち、全ての過去を終わらせるために。
神根島で皇帝はゼロに守られた息子と対峙した。当然、そのゼロはスザクである。
1個大隊の重装備兵士を剣1振りで倒すゼロ。それは新しい英雄の誕生。
その様子は全世界に向けて放送されていた。そのとき世界の全ての戦いは止まった。神のごときゼロの戦い。黒髪の少年の姿にに世界が注目した。ただ、惜しい事に音声が入っていない。
少年が何かを言う。皇帝が演説調にそれに返す。そしてさらに少年が何かを言った後、ゼロが少年に向かって走る。
少年がゼロを振り向く。微笑む。
「ルルーシュ」
オデッセウスはつぶやいた。
父皇帝と戦っているのは死んだはずの弟。
不意に少年と皇帝の姿が画面から消えた。
現地にいた兵士によると皇帝と少年は急に崩れた足元に飲み込まれたという。
これを以て98代皇帝は死亡とされた。
黒の騎士団は新王派との協調路線に転じ、天子、神楽耶、藤堂、扇らが各国代表と共にブリタニアを訪問。一応の条約がかわされた。もちろんいつでも戦えるように必要な軍備は各国が維持する。天子は1分でも早く条約を締結したかった。もう3日も前から星刻との連絡ができなくなった。ラクシャータの言葉によると、神虎のエナジーには限度がある。もう切れているだろう。あの高度では凍死しかねないのだ。
だから、天子はどの国よりも早く条約に調印した。もちろん事務レベルで十分詰めての上だが。
手抜きのようだが、この先の歴史の大嵐に星刻は直接かかわれなかった。神虎のなかでブリタニアを脅す事に手一杯だったからだ。もちろんそれは歴史を動かす大きなコロであったが、現場を離れていた事は否定できない。
第2皇子が宰相として参戦したことにより、オデッセウスの革命は一気に進んだ。それは廃嫡された異母弟ルルーシュの理想とは少しずれていたが、皇帝の侵略主義を否定するものであることは事実である。
独立を目指すエリアはこぞって新王即位と宰相に祝意を述べた。また、皇帝のブリタニアに不満を持つ勢力も新王体制に接触してきた。その中に黒の騎士団もあった。
宰相の部屋を兄である王は自ら先触れすら連れず訪れた。
「陛下、ご連絡を下されば私が参りますが」
「うん、いやシュナイゼルは忙しいだろう」
兄は人のいい顔で弟をねぎらう。
そしてふと弟の部屋の奥の壁に掛けられた絵に気が付く。
「あれは、ルルーシュだね」
それは死んだクロビィスの作品。マリアンヌとルルーシュとナナリー、幸福な時間の結晶。
「ルルーシュは賢い子だった。ルルーシュが生きていれば世界は今のようではなかっただろうね。」
凡庸な兄は何も知らないままなのに、的を得たことを言う。
天才政治家である弟は表情に出さず思う。
ルルーシュが世界をここまで変えたのですよう。だが、もう、世界は変わらない。
ルルーシュには世界を変える理由が無くなったからです。
空っぽになった世界をそれでもシュナイゼルは操る。シュナイゼルにはそれが可能だから。
世界はブリタニアが2つに分かれることで大きく揺れた。皮肉だが、勢力が2分されたことで逆にブリタニアは影響力を強めた。
今、世界の主役はシュナイゼルであった。世界はそう思っていた。だが、シュナイゼルの思う主役達はまだ動いていた。その主役達とは世界を壊した魔王、その剣。
少年2人。
皇帝はシュナイゼルの動きを無視していた。当然、オデッセウスなど視界にすら入っていない。
皇帝はただ一つのことを成し遂げようとしていた。人類を永遠に幸福であらすために。
少年達はその皇帝を追って、海を渡った。皇帝の望みを絶ち、全ての過去を終わらせるために。
神根島で皇帝はゼロに守られた息子と対峙した。当然、そのゼロはスザクである。
1個大隊の重装備兵士を剣1振りで倒すゼロ。それは新しい英雄の誕生。
その様子は全世界に向けて放送されていた。そのとき世界の全ての戦いは止まった。神のごときゼロの戦い。黒髪の少年の姿にに世界が注目した。ただ、惜しい事に音声が入っていない。
少年が何かを言う。皇帝が演説調にそれに返す。そしてさらに少年が何かを言った後、ゼロが少年に向かって走る。
少年がゼロを振り向く。微笑む。
「ルルーシュ」
オデッセウスはつぶやいた。
父皇帝と戦っているのは死んだはずの弟。
不意に少年と皇帝の姿が画面から消えた。
現地にいた兵士によると皇帝と少年は急に崩れた足元に飲み込まれたという。
これを以て98代皇帝は死亡とされた。
黒の騎士団は新王派との協調路線に転じ、天子、神楽耶、藤堂、扇らが各国代表と共にブリタニアを訪問。一応の条約がかわされた。もちろんいつでも戦えるように必要な軍備は各国が維持する。天子は1分でも早く条約を締結したかった。もう3日も前から星刻との連絡ができなくなった。ラクシャータの言葉によると、神虎のエナジーには限度がある。もう切れているだろう。あの高度では凍死しかねないのだ。
だから、天子はどの国よりも早く条約に調印した。もちろん事務レベルで十分詰めての上だが。