MY研究所

(えむわいけんきゅうじょ) ピアノの先生の日常と、音楽教室や音楽についてのお話。

樅の木

2010年12月13日 | 音楽教室

12月といえばクリスマス。そして
クリスマスツリーといえばモミの木ですね。

フィンランドの作曲家、シベリウスのピアノ作品に
樹の組曲』と呼ばれる5つの小品があります。

1.ピヒラヤの花咲く時 2.孤独な松の木
3.はこやなぎ 4.白樺 5.樅の木


かつて『樅の木』を
たてのき』と読んでくれた生徒さんもいましたが
それはさておき

私の持っている全音楽譜の曲集には
『樅の木 The Spruce』と記載されています。

へええ、樅の木が「スプルース」?
樅の木」と聞くと『クリスマスツリー』ですが
スプルース」と聞くと『ピアノの響板(きょうばん)の材料

昔、ピアノ構造論の授業で
目が細かく、軽く軟らかく弾力のあるスプルース材は
響板に最適(バイオリンにも使われます)と習ったのです。

            
クリスマスツリーの木がスプルースだったとは意外。
で、なんとなく樹木について調べてみましたら

【スプルース spruce】
マツ科トウヒ属の常緑針葉樹で、
ピアノ・バイオリンの材料にも使われる。北洋エゾ松もこの仲間。
トウヒ?樅の木ではなくて?じゃあ、樅の木は?

【樅(モミ)fir】
マツ科モミ属の常緑針葉樹
日本では本州・四国・九州に自生
クリスマスツリーに用いる

混乱する事態発生

だって、「5つの小品」のタイトルには
「孤独な松の木」にThe Solitary Fir Tree
樅の木」にThe Spruce と記載されているのです。
モミとトウヒが逆さまになっていませんか?

            
日本では「クリスマスツリー=樅の木」ですね。
ヨーロッパでは
伝統的には「モミ fir」がクリスマスツリーの木ですが
実際のところ、「トウヒ spruce」の方が入手しやすいので
「どちらもクリスマスツリーの木」で正解らしい。

とりあえず、
Fir(樅)も Spruce(トウヒ)も
見た目はクリスマスツリー」ですので
「松」と訳してあっても「日本的な松」を想像してはいけません。

シベリウスの「孤独な松」を弾く時には要注意。