江戸時代だったら社会が不安定になると流言飛語や打ち壊し、一揆などが起きました。戦前なら米騒動や徴兵反対一揆。昭和の時代だったら、デモや暴動。
今の日本はそういったむき出しの暴力行為が減って「平和」なようですが、ネット上では流言飛語や炎上が盛んです。これって昔なら一揆や暴動が起きるくらいの「社会不安」が実はすでに始まっている、ということを意味していません? これだけ炎上をしたりするのは「ネット特有の問題」ではなくて「日本社会が抱えている問題の反映」では?
【ただいま読書中】『ハンガー・ゲーム(3)マネシカケスの少女(上)』スーザン・コリンズ 著、 河井直子 訳、 メディアファクトリー、2012年、590円(税別)
ページを開いて私はまず語り手を確認します。よかった、カットニスのままです。頭を殴られた後遺症の脳震盪や使われた薬での混乱のため、ずいぶん弱々しくなっていますが。ということは、本書の最後までカットニスが殺される心配はなさそうです。突然「語り手交代」なんてことさえなければ。
「ハンガー・ゲーム」自体を破壊して逃亡したカットニスは、第13地区に受け入れられました、というか、第13地区は最初からカットニスをゲームから奪うつもりで準備していたのです。キャピトルは報復としてカットニスの故郷第12地区を爆撃で徹底的に破壊します。それまで潜伏していた第13地区は「反乱軍」として公然と行動することにします。ただそのためには「反乱のシンボル」が必要。選ばれたのがカットニスでした。「マネシカケスの少女」としてキャピトルに挑むのです。
「ハンガー・ゲーム」が「戦争」になったように見えます。しかしその本質はやはり「ハンガー・ゲーム」のままでした。規模は大きくなりましたが、カットニスはこれまでゲームに勝ち抜いてきたのと同じ態度で、キャピトルへの戦いに臨みます。大規模になりましたが、やることは同じです。敵を倒し、味方の裏切りに気をつけ、騙されず、常に先を読み、生き抜く。
キャピトルのために兵士を供給しそのかわりに優遇処置を得ている第2地区以外のすべての地区がキャピトルと戦争状態に入っています。まず第8地区にカットニスは向かいます。目的は「マネシカケスの少女」のPR動画の撮影。しかし“戦場"ですから、いくら安全を確保したにしてもすぐに“実戦"が始まってしまいます。
カットニスが生きる未来世界では、ジェット機は滅亡していて、主力爆撃機はホバークラフトです。つまり対空砲火として小火器も有効。ということは、カットニスが得意とする弓矢にも出番があるのです。炸裂弾を仕込んだ矢でホバークラフトを撃墜、って、とっても“絵"になります。人はたくさん死ぬのですが。
カットニスは、二人の男の間で、まだ自分の本当の気持ちに気づかず、揺れています。しかし戦争はそんなことには容赦なく、進展していきます。カットニスの“相棒"ピータを、大きな犠牲を払いながら敵中から救出できますが、ピータはなぜかカットニスに襲いかかります。なぜ?
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