【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

「あなたのためのおべんとう」コンクール/『北岸通りの骨董屋』

2009-01-24 18:26:05 | Weblog
ajgika.ne.jp/fair/8/doc/fair-youkou1201.pdf
 中学生の「ものづくり」のためのコンクールだそうです。正式には「全国中学生創造ものづくり教育フェア」というものすごい名称ですが。おや、1月24日と25日だったんですね。興味のある方、つくばに走っていくか、来年参加されたらいかがでしょう。

【ただいま読書中】
北岸通りの骨董屋』シルヴィア・ウォー 著、 こだまともこ 訳、 佐竹美保 絵、1997年、1553円(税別)

 アップルビーの“死”から1年、一家はなんとか生きていましたが、マグナス卿はそこで“啓示”を受けます。自分たちの命は、来年の10月1日までのあと1年、と。
 クリスマスが近づき、ヴィネッタは、いつもの「ケーキを焼くふり」ではなくて、本物のケーキを焼くことにします。ジョシュアは、本物のもみの木を買ってきます。プレゼントの交換が盛大に行われます。「これが最後のクリスマス」と、誰も口に出しては云いませんが、わかっているからメニム一家は一瞬一瞬をいとおしみます。そしてその大切な時間をマグナス卿がぶちこわします。
 まったくこの一家は、シリーズのこれまでの、どの大事な瞬間でも、必ず誰かが“ぶちこわし役”になるのです。まるでそれが“運命”であるかのように。そして人形一家は、自分たちが死ぬ日のための準備を始めます。

 正式な相続人が屋敷を訪れますが、彼らが発見したのは、つい先ほどまで人が住んでいた気配がする、空っぽではない屋敷でした。なにしろ家具調度衣類が全部そろっているのです。第2巻で登場したアルバート・ボンドも再登場しブロックルハースト・グローブの屋敷に足を踏み入れます。そこで見かけた動かない人形たちにアルバートは衝撃を覚えます。
 いやあ、なんというか、とんでもない展開です。一家が全滅してしまいました。しかし「人形」とはいっても等身大でしかも(見た人は知らないにしても)魂がつい最近まであった抜け殻ですから、人間はその処置に困ります。どうみてもうっかり捨ててしまって良いものではないのです。どこでも良いから適当にとはせずに家財などを処理しようとするボンド夫妻は、北岸通りの骨董屋を思いつきます。そしてそこには別の方角からも思いがけない来訪者が。

 人形も人間も、中年あるいは老齢の女性のキャラクターが鮮烈です。男も結構魅力的なのですが、若くない女性の方がはるかに魅力的で生き生きと生きています。また、人形の子どもが遊ぶ人形のアクションマンのところでは「クレヨンしんちゃん」のアクション仮面を連想しますし。タクシーだけど専用運転手を持っている老人デイジーが登場するところでは「ドライビング・ミス・デイジー」を思い出します。連想回路のスイッチが入りっぱなしです。読んでいてずいぶん忙しい思いをする作品です。


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