【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

見えてます?

2018-09-26 06:40:09 | Weblog

 「虹は七色」とよく言いますが、みなさん、肉眼で本当にそう見えてます? 拡大写真をじっくり見つめたら「7色」に分けることは可能ですが、実際に空にあるものを見たとき、私には4色、せいぜい5色にしか見えないのですが。

【ただいま読書中】『星界の報告』ガリレオ・ガリレイ 著、 伊藤和行 訳、 講談社(講談社学術文庫)、2017年、600円(税別)
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 「オランダで『覗き眼鏡』が製作された」という噂を聞き、著者は自分でも作ってみることにしました。レンズは職人に磨かせただけではなくて、自分でも磨き、数箇月で「9倍」ついで「20倍」という、当時の世界では驚異的な倍率の「覗き眼鏡(望遠鏡)」を作り出してしまいます。そしてそれで空を眺めたら何が見えたかという「報告」が本書です。本書で「見えたもの」は4つ。
 1)月
 天動説の世界では「空」は「天使や神の領域」でした。当然そこに「傷もの」は存在するわけがありません。ところが著者が見た月には明らかな「クレーター」などが存在していました。
 2)恒星
 肉眼的に当時の夜空は1等星〜6等星で占められていて、それが結ばれて「星図」を作っていました。ところが著者は「もっとたくさんの星」を山ほど発見してしまいます。暗くて肉眼では見えにくかっただけで、望遠鏡で拡大したら空は星で満ちていたのです。
 3)天の川や星雲
 英語で天の川は「Milky Way」と呼ばれていましたが、つまりは濁った液体か雲が天球に貼りついているものと認識されていました。星雲も名前のとおり「雲」です。ところが著者はそれらが「非常に小さな恒星」が多数密集しているものであることを発見しました。
 4)木星
 木星を観測しているとき、著者は木星の近傍にも「小さな恒星」を4つ見つけたと思いました。ところが観測を続けると、その「小さな恒星」が木星から離れず、規則的にその位置を変えていることに気づきます。1610年1月7日〜3月2日までの観測で著者は「4つの星」は「木星の周囲を回転している(地球に対する月のような)衛星である」ことを確信します。さらに木星に近いものほど速く回転していることもつきとめます。これは、太陽に対する惑星群と同じ力学法則でそれらの星が木星に対して動いていることを示しています。

 本書はここで終わります。
 私たちにとって、銀河が星の集合であることは「常識」です。「木星の衛星」は4つではなくて数十個あることも知っています。ただそういった「常識」や「知識」は、ガリレオ・ガリレイが「出発点」なのです。もしも私がそういった知識を奪われ、その代わりに「20倍の望遠鏡」を与えられたら、はたしてガリレオ・ガリレイと同じ「発見」ができるかどうか、自信はありません、というか、発見できないだろうことに自信があります。だってひょいと夜空を見上げて「あれが木星」と言えませんもの。




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