夕暮れ時に帰宅するとき、いつ車のライトをオンにするか迷うことがあります。薄暗いと事故の確率が増えますが、だんだん暗くなるものだから「見えていないこと」が意識しづらいんですよね。
その逆に、夜明け前に出勤するときは、いつ車のライトを消すか、迷うことがあります。迷う、というか、「ライトをつけていること」を忘れてしまうのですが。
自動的に点灯消灯をしてくれる車に買い換える手もありますが、買い換えの動機として「迷うから」は弱いですよねえ。
【ただいま読書中】『完全読本 さよなら小松左京』小松左京ほか 著、 徳間書店、2011年、2200円(税別)
ふざけたタイトルです。追悼本だから別れを告げるのはわかります。だけど「さよなら」はあまりに軽すぎません? さらにこれは小松左京の『さよならジュピター』にかかっています。あまりにふざけているから、本書の表紙をにらんでいるだけで、私は涙ぐんでしまうじゃないですか。私は今になってもまだ小松左京に「さよなら」と言いたくないのです。
さらに困ったことに、本書には「小松左京と手塚治虫の対談」が収録されたCDが付録としてくっついています。私が大好きな二人の肉声を聞かせるとは、また私の涙腺に対する悪辣な攻撃ではありませんか。
町工場に勤めていた小松左京さんは「奥さんを楽しませるため」に、毎日200字詰めの原稿用紙15〜16枚の「連載小説」を書きました。それがあまりに楽しいものだったので奥さんは「早く続きを」と催促。それがたまったのがデビュー長篇『日本アパッチ族』だそうです。当時SFで飯が食えるのは星新一だけで、光文社も「SF小説」ではなくて「奇想天外小説」と宣伝したそうです。(そういえば、眉村卓さんには『妻に捧げた1778話』という本がありましたね。SF作家って楽しませるために妻に作品を捧げたくなるのかな?)
しかし、裏表紙に「登場人物」の名前が列挙されていて、SF作家やSFも描くマンガ家が並んでいるのはわかるのですが、桂米朝とか由美かおるという名前がさらっと混じっているのは、これはどういうこと? もう、読むしかないですね。
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