【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

現代の封建制

2020-04-06 12:56:45 | Weblog

 政治家の子が政治家になる例はずいぶん多いし、金持ちの子の方が高等教育を受けやすくてまた金持ちになる、というのも、現在の日本の風潮となっています。万人平等の民主主義国家のはずですが、「生まれ」が決定因子となる世襲制の封建国家に日本はなったんだな、なんてことを感じます。
 ただ、そういった世襲国家になるのだったら、それはそれでよいことがあるかもしれません。たとえば江戸時代には林業がきちんと機能していましたが、それは「自分の孫子の代のこと」まで人が考えていたからです。現在の「次の選挙のことだけ考える政治家」や「担当している2〜3年だけその分野のことをやればよい官僚」は「自分の孫子の代の日本」のことなんか考えませんからね、だから林業がここまで衰退してしまった。ならば「林業を担当する政治家と官僚は、終身制で世襲制」とするのはどうでしょう。そうしたら「林業の未来に関する責任」は全部自分で負いしかも自分の子孫に引き継がれるのだから、今よりはもう少しまともな仕事をするかもしれません。

【ただいま読書中】『図説 日本建築の歴史 ──寺院・神社と住宅』玉井哲雄 著、 河出書房新社、2008年(20年新装版初版)、1900円(税別)

 本書で「建物」は「ものとしての構築物」、「建築」は「建物の美的・芸術的な側面と背景としての文化も含んだもの」と区別して使われています。そして「日本建築」は、「空間」としては日本列島、「時間」としては「原始・古代〜江戸時代」としています。
 近代建築の前、世界中の伝統建築は「木造」と「組積造(石や煉瓦)」に大きく分けることができます。日本建築はもちろん木造で、その中でも「軸組構造(柱と梁と桁で構成される)」が主流です。
 日本建築は「寺社」と「住宅」の区別があります。もちろん「どこにあってどのように使われるか」でも簡単に区別できますが、構造的には「組物の有無」でも区別できるそうです。「組物って何だ?」ですが、これは、柱の上部で柱と梁と桁を上手く接合し、さらにその上に乗る小屋組の垂木を支える支点としても働く構造物です。この組物が軒下にあるのが「寺社建築」、無いのが「住宅建築」。
 へえ〜、これは知りませんでした。来週お寺に行くので、じっくり拝見してみましょう。
 この区別は、仏教伝来前まで遡る必要がある、と著者は考えています。古代の日本では、粗末な竪穴式住居と、それよりは洗練された高床式住居が使われていました。後者は権力者の住居・宗教施設・倉庫など特別な用途に用いられていたはずです。そこに仏教が、大陸の建築と共に渡来。そこには「組物」も含まれていました。当然仏教寺院は豪華な(組物がある)建築となります。しかし神社はそれに対抗して“伝統的”な高床式建物を基本としようとしました。しかし時代の流れには勝てず、とうとう“伝統”を守れたのは伊勢神宮だけで(お伊勢さんの建物には組物は使われていないそうです)、他の神社はすべて組物のある建築になってしまいました(ただ、高床であることや、瓦葺きや土壁を用いないこと、などは守り続けられています)。しかし、一般人にとってそんなことはどうでもよいことでした。「組物」に代表される大陸の建築様式は、庶民の住宅には取り入れられなかったのです。
 「古い日本建築」と十把一絡げに捉えてあまり真剣に見つめたことはありませんが、なるほど、見る目と知識さえあれば、いろんなことが見えてくるんですね。本書には様々な日本建築の写真が多数収載されていますが、写真ではどうももどかしい。やはり現物をじっくり見つめるのが一番でしょうね。とりあえず、来週のお寺、それから地元の神社かな。

 



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