もちろん血液が先でしょう。ただ、動物が進化して血液が発生するまでの間、吸血鬼(の祖先)は何を吸って生きていたのでしょう?
【ただいま読書中】『吸血鬼伝説 ──ドラキュラの末裔たち』仁賀克雄 編、原書房、1997年、1845円(税別)
目次:「黒の啓示」カール・ジャコビ、「血の末裔」リチャード・マシスン、「炎の十字架」レスター・デル・リー、「吸血鬼の村」エドモンド・ハミルトン、「心中の虫」シリル・M・コーンブルース、「狼女」バセット・モーガン、「夜だけの恋人」ウィリアム・テン、「影のない男」シーバリー・クイン、「アヴロワーニュの逢引」クラーク・アシュトン・スミス、「墓からの悪魔」ロバート・E・ハワード、「お客さまはどなた?」オーガスト・ダーレス、「わたしは、吸血鬼」ヘンリー・カットナー、「聖域」A・E・ヴァン・ヴォークト、「マント」ロバート・ブロック、「会合場所」チャールズ・ボウモント
本書に集められた作者の全てを知っているわけではありませんが、知っている人の名前を見るだけで「これは、きっと、すごいぞ」と私は呟きます。作者のラインナップがすごければ、作品もきっとすごいだろう、と単純に期待しているのです。
実際、読んでいると、堪能できます。ただ、かすかな不満が。
こういった短編は読者が感じる「ショック」も持ち味の一つです。登場人物がかすかな不安や不信を持ちつつ行動していて、ある人が(あるいは自分自身が)吸血鬼であることに気づく「ショック」ですが、吸血鬼アンソロジーだと、最初から誰かが吸血鬼であることが前提ですから、この「ショック」が減殺されてしまうのです。これはちょっと残念。ただ、そのハンディキャップを乗り越えて、新たな「ショック」を与えてくれる作品もちゃんとあります。さらに完全な「ハッピーエンド」の作品まで。これは別の意味で「ショック」でしたね。
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