【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

隔離の意味が理解できない

2021-06-30 07:02:34 | Weblog

 「バブルによる隔離」を言っていたくせに、今頃になって「五輪では空港で関係者と一般利用者の動線を分ける」ことの検討を始めるそうです。「隔離」って言葉を、五輪の運営者は理解できていないのかな? 動線が混じっていたら隔離されていることにはならないでしょ? もしかしてウイルスよりも脳なし? 少なくとも能なしであることは間違いないようです。「バブルによる隔離」と口に出した瞬間「なんとなく生じた“達成感”」で満足しちゃいました?

【ただいま読書中】『二つの温暖化 ──地球温暖化とヒートアイランド』甲斐憲次 編著、 成山堂書店、2012年、3800円(税別)

 気温計による測定はたかだかこの100年のことですが、化石記録・花粉分析・同位体分析などから過去の気温はけっこう高い精度で推定できます。歴史を見てもある程度のことはわかります。たとえば12〜13世紀にはイギリス南部でブドウが栽培され、バイキングはヨーロッパ各地に侵入するだけではなくてグリーンランドにも植民地を作りました。ところが16世紀にテムズ川が氷結し、バイキングはグリーンランドから撤退、その代わりにイヌイットがグリーンランドに住みつきました。つまり、12〜13世紀は温暖期、16世紀は寒冷期(小氷期)、とわかります。小氷期からあと、気温は右肩上がりに上昇しましたが、1960年ころから低下し始め70年代には「まさか、氷河期が再来するのか?」と語られるようになりました。安部公房が『第四間氷期』を発表したのは1958年ですから、タイトルだけ見ると“先見の明”があったと言えそうです。ところが気温上昇は“持ち直し”、95年ころには地球温暖化への警戒感が高まりました。
 人為的な地球温暖化は、人間の活動(の過剰)によってもたらされます。そしてその“先行例”として見えるのが「都市の温暖化」。なにしろ人が密集して活動しているのですから、その影響は地球全体を見なくても簡単にわかります。
 「ヒートアイランド」という言葉を私が初めて聞いたのは、1970年代だったか80年代だったはずです。このときには私は地球規模でものを考えることができなかったので「都市が温かくなるのだったら、冬は都市で、夏は田舎で過ごしたら快適かな」程度にのほほーんとしていました。今にして思うと恥ずかしい。
 地球温暖化は、実験室内で再現することは困難です。数値シミュレーションの結果を受け入れなければなりません。さらに、確率とか不確実性についても受け入れる必要があります。なかなかはっきりしない感じでもどかしいのですが、それでもせめてSDGsについてくらいは理解しておいた方が良さそうだ、と私は思っています。「自分が死んだあと、地球や人類がどうなってもかまわない」とまで思えませんので。