【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

食事時

2011-10-12 18:35:36 | Weblog

 私は子供の時に「電話をする場合には、夜遅くと食事時は外すように」と躾けられました。携帯電話とメールの時代にはそんな躾は“死語”なのかもしれませんが、やはり受話器を持つ場合にはちょっとは相手の都合も私は考えてしまいます。
 だけど、食事時にかけてくる営業電話って多いんですよねえ。この時間なら確実につかまるだろう、ということなのでしょうが、受ける側の迷惑とか不快感まで“計算”に入っているのかな? その企業に決してプラスに働くとは思えないのですが。

【ただいま読書中】『若草物語(下)』ルイーザ・メイ・オールコット 著、 松本恵子 訳、 新潮文庫、1951年(84年改版46刷)、240円

 季節は巡ります。四姉妹の隣家に住むローリイ少年と姉妹は仲良くなっていきます。特にジョーはよい遊び相手として、しょっちゅう一緒に走り回っています。そのうちジョーの書いた小説が新聞に採用されます(原稿料はもらえませんでしたが)。しかしその幸福の中に、ワシントンから爆弾のような電報が。「ゴシュジン、ジュウタイ、スグオイデアレ」と。マーチ夫人(四姉妹の母)はとるものもとりあえずワシントンに駆けつけます。残された姉妹は、周囲の人たちの助けも借りて立派にやっていますが、そのうち少しずつダレ気分が。そこにまた一難。ベスが猩紅熱にかかってしまったのです。
 私が小学生の時に、法定伝染病というのを習いましたが、その中にたしかに猩紅熱がありました。抗生物質で治療できるようになったので、今では法定伝染病ではありませんが……というか、今では人の伝染病に関しては「法定伝染病」というもの自体が廃止されていますけれども。
 ベスの病状は重く、一時は危篤状態まで行きます。しかし……
 この頃、子供は本当によく死んでいました。人口動態のグラフを見ると、日本でも明治時代には、新生児死亡率は8%くらい、乳児死亡率は15%以上です。抗生物質がなく、点滴もできない時代には、下痢や嘔吐が続くだけでも子供はころりと死んでいました(「疫痢」ということばを私は覚えています)。「衛生」の概念が社会にけっこう根付いていた日本でもこれです。
 そしてクリスマス。この物語が始まってから1年が経過しました。多くのことが起こり、多くの人が変化した1年でした。そのことが最後に簡潔にまとめられます。いやあ、「次の一年」では一体何が起きるのだろう、と期待を持たせる終り方です。上手だなあ。