日中越境EC雑感

2008年に上海でたおばおに店を作るところから始めて、早もうすぐ10年。余りの変化に驚きの連続

中国コピー製品はなくならない

2009-12-12 | 中国経済関連
 日経ビジネスで中国の経済構造に関する問題点にかかる特集がなされていますが、2割の富裕層が8割の富を握る中国と言う題で、上海の復旦大学経済学院・孫立堅副院長のコメントが記載されています。

 まぁ、今の経済はおいといて興味深いコメントは

・必要です。産業、製品の付加価値を高めるために、イノベーションを重視した産業育成が必要になっている。今年10月にベンチャー企業向けのいわゆる中国版ナスダックの取引が開始されたのも、将来に向けて独創性の高い企業を育成しようという姿勢の表れである。
 
 ただここにも別のジレンマがあるのです。携帯電話のコピー製品が象徴するような「山さい」製品の産業規模がとても大きくなっており、大きな雇用を抱えており、これは、高付加価値化の大きな障害です。

 何か新しいモノやアイデアを生み出してもすぐにコピーされるのがわかっていれば、誰もリスクを取って投資しようとはしません。イノベーションを起こそうというインセンティブが働かなくては、産業の高付加価値化は難しいわけです。

 ただ、1つの問題だけを取り出して解決することは無理なのです。コピー商品を一気に排除すれば雇用の問題が起き、消費にも悪影響がある。かといってこれを放置すれば真の内需拡大は難しい、といった具合です。

 中国政府ができる現実的な対応は、すべての問題に目配せしながら慎重に、同時並行で一歩ずつ前に進めていくことでしょう。外から見ればもどかしいかもしれませんが、微妙なバランスの上に成り立っている中国経済の構造を変えるにはこれしかないという現実もまたあります。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/money/20091127/210781/?P=4

 中国のジレンマでしょうね。そして、これがこの国将来は決して明るくなく、アメリカを抜くなんておそらくは夢物語で終わるだろうと言う私の見解の最大の根拠です。

 中国では昨年最新式戦闘機を開発し、その性能はアメリカ製最新式戦闘機を上回ると言う記事をだいぶ前に見たことがあります。そして、最近では大型ジェット旅客機を開発したとも。

 シンセンで、他の上海人グループ、シンセンの担ぎ屋さんたちと一緒に食事をしたのですが、その担ぎ屋の弟が人民解放軍の空軍の整備兵で、たまたまその宴会に彼女連れで参加していました。

 航空機の整備の時に、ボルト一本まで担当した整備兵の名前を書くとか、人民解放軍では兵士の命より飛行機が重要で、事故が起きてもとにかく飛行機を持ち帰れと言う命令が出るとか、上述の戦闘機も開発中に何人も事故で死んでいるとか、まぁ面白い話が聞けたのですけど、その戦闘機について同席している上海人が、

 「アメリカの飛行機より優秀なんだろ、メイドインチャイナの方がアメリカ製より良いに決まっているよね、輸出しないの?」

 兵隊さん「運、輸出しているけどアフリカとか小さな国ばかりなんだよね」

 と言う会話をしていました。

 先日日本の記事を見ていたら、何でもこの戦闘機はロシアのスホイ27をそっくりコピーしたもので、元々ロシアは輸出していた国に中国が中国製を時刻開発として販売しだしたことから、ロシアは怒っており、ロシアの最新の戦闘機スホイ33の輸出はまだ認めていない。中国側はウクライナから1機買ってリバースしている所だと言う記事を見ました。

 新幹線も自国開発と国民には伝えていますし、まぁ、笑って聞くしかないと言うのが本音です。あ、上述の大型旅客機に関しては、英文の記事によると既に倒産したダグラスの20年前の飛行機がベースになっているそうです。

 結局の所まだ国内の内需喚起をするには時期が早すぎる。

 輸出に頼るしかない。でも先進国に販売できるものは付加価値の低い製品しか作れない

 そして、先進国との競争に勝つだけの物や技術を開発するインセンティブが上記のように働かず、産業の高付加価値が難しい。

 確かに、急激な改革は困難でしょう。国民の貧富の差に加えチベットやウイグルの問題を抱えている。でも、後20年もしたら一人っ子政策が裏目に出た高齢化社会が始まり、日本以上にその状況が進行してしまう。

 かなり暗い未来が見えてしまいます。

 僕らへの影響は?

 今の淘宝のビジネスは、販売商品の売上の7-8割が関税逃れの非正規輸入品であり、それが中国流通市場の実態に合わせたものだとしても、健全とは思っていません。3-5年はともかく何時までもこんなことが許容されるとは考えがたいと言う話を、他の中国人たちとも話していますし、僕自身は事業を別な方向にシフトしています。

 でも、コピーもそうですし、この関税からみの件も、中国が付加価値の高い製品を作り国内企業が競争力を持たない限り現在の関税制度の撤廃は容易ではない。はたしてそれが可能か?

 淘宝で輸入品を販売している業者とその雇用者数は、既に少なくは無い数万人では聞かないだろう。そして、香港シンセンのに担ぎ屋で生計を立てている中国人と香港人は数万人になるだろう。

 一方、和光堂と大王製紙の代理店が行っているように、大連でもかなりの規模でそういう不正が行われており、これは港がある都市の大半で同じ(山東省なら韓国との貿易、福建では台湾。ベトナム、ロシア国共も同じ)。かつこちらは税関の幹部や職員にお金を払って行われているだけに、ある意味法律のグレーゾーンである小口配送を活用するか、住人が小分けした荷物を電車で運ぶ香港経由より悪質(100%贈賄ですから完全な黒)。

 となると、この淘宝にしろ、流通市場の今の水商売的な商流も変わることは無いのじゃないでしょうか?ありえるとしたら2020年以降かな?2030年以降は嫌でも経済の安定期か下降期にはいってしまうでしょうから、雇用確保を妨げる方向には行かないし行けないですよね。

 そうすると、今のままほっぽいても実はあまり心配は無いのかなと思います。まぁ、もちろんこれだけじゃ幾ら稼いでも面白くないですけどね。

 
コメント
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