日中越境EC雑感

2008年に上海でたおばおに店を作るところから始めて、早もうすぐ10年。余りの変化に驚きの連続

フリ-ペ-パ-コンシェルジェ創業者

2009-12-16 | 日本・日系企業
 の大西さんの記事がダイヤモンドに掲載されていました。

 上海でも、フリ-ペ-パ-はたくさんあり、一番の老舗はWhenever、次がコンシェルジェ、そして、Supercity。進行ですが元気なのがじゃぴおん。個人的に好きなのがBrosとあります。中国在住日本人相手に日本企業や日本人向けサ-ビス業から広告費を取るモデルですね。

 Whenverは中国人向けのフリ-ペ-パ-出版をやっているのですが、コンシェルジェも面白い取り組みをしていたんですね。

以下記事より。

・1995年、大西正也は出版規制の強い中国で、地区政府や日系企業のコンサルティング会社として、フリーペーパー事業を展開する許可を中国の大連市政府から獲得した。チャイナ・コンシェルジュ創業の瞬間だ。

・実父の事業の関係で、94年に中国大陸へ渡った。発展途上の混沌と熱気に興奮し、薬や化粧品のセレクトショップを中国につくりたいと考えた。が、貿易会社をつくるには許可を得るまでに時間がかかり、要求される最低資本金の額もあまりに大きかった。

・壁にぶつかるなか、ハワイやニューヨークでは当然のように溢れている在住日本人向けのフリーペーパーが存在していないことに気づいたが、外国人に出版許可は簡単に下りなかった。このとき目に入ったのが、大連市政府の外国資本を誘致する部署が作った日本企業向け誘致・投資ガイド冊子だ。誤植のひどさにチャンスを直感、冒頭のとおり、フリーペーパー事業へと結び付けた。

・その後、中国人向け訪日旅行誌「A[ei]」を現地旅行会社約180店舗や航空会社、空港などに配布し、12.5万部を発行。「Concierge」は中国や香港で発行されている日本人向け、「needs」は香港人向けのフリーペーパーと事業展開。

・年収350万円以上の中国人富裕層は人口の4.5%、6000万人。彼らにリーチする手法は何か。多くの日本人からの問いに大西が出した解は「海外旅行ができる中国人へのアプローチ」。2005年、日本を旅行する中国人向けのフリーペーパー「A[ei]」を立ち上げた。広告主のターゲットは観光客を求める日本の地方自治体だ。

・当時、訪日中国人客には個人での観光ビザ発給が認められておらず、そこで中国の旅行会社を回り、自治体の地元を訪れる団体ツアーをつくってもらい、広告とともに旅行プランを掲載。また、掲載後はツアー客1人当たり単価や参加人数などの結果、売れなかった場合はその原因をつぶさに自治体へレポートした。こうして06年3月から08年12月までに累計3万2000人の中国人ツアー客を日本に送り込んだ。現在、38都道府県と取引がある。

・今後は、日本政府観光局の中国向けウェブサイトのコンテンツを制作し、訪日へと導くネットマーケティングに乗り出している。

・経営は節目に立つ。04年までは経常黒字を続けたが、その後4年間は赤字。04年に海外五法人を束ねる日本法人の統括会社をつくり、組織強化のために従業員数を大幅に増やし、コストが増大しているのが赤字の主因だ。さらに日本の監査法人の指導を受けて経営体制を厳格化した。業績は痛手を受けたが、中国ルールに従ってきた同社が日本の大手企業や政府との提携、取引を増やしていくには避けられない洗礼だった。12年をメドに上場を目指す。中国大手証券会社からは中国新興市場での上場の提案を受けている。
http://member.diamond.jp/series/entrepreneur/10097/?page=2

 さすが元リクですね。日本人からお金を取る収益モデルの事業なんてチャレンジの価値がないと個人的に思っていたのですが、こうやって全体を捕らえてみれば、それなりに論理的で、がんばっているなと思わされます。

 そして、上場準備に関連したコスト増に伴い、利益が悪化したというところも参考にする必要がありますね。前は、中国関連企業を東京市場に公開させるという動きがありましたが、是非中国で公開してもらいたいですね。2012年時点だと中国の株式市場がどうなっているか、相当にバブルのリアクションの影響が懸念されますが、すばらしき前例になっていただきたいです。

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日本は欧米よりアジアで有利か?

2009-12-16 | 日本・日系企業
 近隣途上国の成長率は7.8% 欧州よりも恵まれている日本と、ダイヤモンドに

・世界銀行は先日、「リバウンドから回復への転換」と題する東アジア経済のレポートを発表した。

・今年の中国のGDPは、財政支出策と金融緩和策に支えられて、4500億ドル増加すると見込む一方、G3(米欧日)のGDPは今年、合計5800億ドルの減少し、G3の減少の4分の3を中国の成長がオフセットすることになる。

・韓国はウォン安の恩恵を受けて、工業製品の海外競争力が高まり、現代自動車の米国での販売シェアは、2007~08年の5%前後から、今年は7.4%に成長。サムスン電子とハイニックスのDRAMの世界シェアは、08年第2四半期の53.1%から、今年第2四半期に61%へ上昇。韓国製薄型フラットスクリーンの世界シェアは、45.5%から49.4%へ、携帯電話機は24.7%から30.6%へ上昇。そのぶん、日本、台湾などのメーカーのシェアが食われている。

・マレーシアは、日本および日本関連の企業が1300社以上もあり、昨秋以降の急激な生産調整に雇用が直撃された。特に労働者の4割前後を占める外国人契約労働者は大量に失業したが、最近は一転して、人手不足が生じ、賃金が上がっている。

・世界銀行は、東アジアの発展途上国の来年の成長率を7.8%と予想(OECD加盟国は1.7%)。中国を除くと4.5%。中国依存度が高いが、中国の銀行貸し出しは異常な伸びになっており、中国に世界が依存する構図には限界がある。

・欧州・中央アジアの発展途上国の来年の成長率はわずか1.9%と予想され、日本は近隣に高成長国があるだけ恵まれていると考えるべき。但し、東アジアの資産バブルが懸念で、シンガポールでは、不動産価格が今年第3四半期に前期比16%の上昇を見せた。香港や台湾などでも住宅価格は急騰している。為替レートをドルに事実上ペッグしている国では、過剰流動性が発生しており、今後の対応が難しくなっている。
http://member.diamond.jp/series/money_market/10105/

 アジア各国は実際の所いまだに輸出依存体質が高いので、どこまでこういう状況が続くのかはわかりませんが、アジアの成長は日本にとっては距離感だけでなく、同じ黄色人主なだけに有利な点は多々あります。

 日本の化粧品や食品を好む中国人の意識の中には、同じアジアブランドなのでアジア人向けである。そこが欧米の商品より良いという意見があります。確かにその通りのはずで、各国向けにローカライズする際にも欧米系の企業よりアジア市場では有利なはずなんです。だから、アジアは俺たちのものだという考えで市場を攻めていく上では、本来的には有利なはずです。

 一方、ブランディングという点ではそう簡単にはいきません。アジア諸国は植民地時代が長いため、欧米のブランドは良く知っています。そして、欧米系企業に勤務すること自体もエリートの象徴のように見られています。

 日本でジョンソンエンドジョンソンの経営メンバーだったといっても、外資の世界では評価はされますが、当然三菱商事とか大手都銀のい課長クラスより数段下としてみなされます。ところが、中国、韓国、フィリピン、シンガポール等の国では全く正反対で、J&Jの社員だったという方が、よっぽど評価されます。

 そして、これらの国のエリート層、富裕層は子女を欧米に留学させており、彼ら、彼女たちがその国のオピニオンリーダーでもあります(華僑系が多いでしょうが)。この人たちは日本ブランドより欧米ブランドに馴染んでいますし、コネクションも持っています。

 日本企業はそういう意味で、ソニー、トヨタ、ホンダ等を除くと、ローカル社員
の採用においても、商品の販売においても欧米系企業より大きく出遅れた状態からはじめないといけません。日本の中堅企業など名前すら知らないでしょう。そういう認識は持たないといけないです。

 中国市場でも、日本企業は中国をなめているという表現を聞きますが、アジア各国どこにいっても、Made in Japanといっても、欧米系企業との競争、同じMade in Japanとの競争に激しくさらされることに変わりはありません。

 海外に出ないとわからないですし、一つの国だけでは見えない現実です。
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小売業の収益力の差は

2009-12-16 | 日本・日系企業
日経ビジネスに連載されている成城大久保社長の記事からなんですが。

・小売業は企業規模と利益率が必ずしも一致しておらず、規模の利益を追求するメーカーとは異なる。

・企業により、バイヤーがメーカーからリベートを取ることを優先して、リベートの多い商品の品揃えを強化していた。消費者のニーズに合った商品を仕入れるのが小売業だと思うし、その企業の経営者も「消費者至上主義」を掲げていたから同様に考えていたはずであるが、現場では違う行動が行われていた。

・売り場で実行するのが実際には難しい素晴らしい計画書を作り、売り場は何をしたらいいのか分からないのを許す体質になっている。経営者が何を言おうと、現場で売り場で実行されなければ業績を上げることはできない。

・なぜ小売業は指示したことを実行しないのか?小売業を経験したことのない人からよく聞かれるが、私の経験からすると、忙しくてそれどころではなく、次から次へと来る本部指示はなかなか実行できない、というのが実感であった。その対策としては、本部指示を実行するレベルを上げるには、店舗での実行をサポートをする専任部隊が有効であると考えている。スーパーバイザーと呼ばれたりすることが多い。スーパーバイザー機能を強化し店舗での実行度を上げると、業績は上がってくる。間接人員で無駄な経費のように見えるかもしれないが、成果をあげる重要な機能である。

・商品部にはいろいろな機能がある。商品を仕入れる機能も重要であるが、仕入れた商品を店舗で売り込むことをサポートする機能も重要である。仕入れる機能と店舗をサポートする機能は専任化したほうが良い。バイヤーは仕入れ担当に専念してもらわないと仕入れ力が落ちてしまう。バイヤーが不振店の対応や競合対策、新店や改装などの店舗サポートに時間を取られて、商品の仕入れ力が低下し、業績が不振になるのはよくある話である。仕入れ力は小売業にとって生命線である。仕入れ力を上げることと、店舗での実行度を上げることを両立させるために、スーパーバイザーの専任化が必要になってくるのである。

 商品部にはいろいろな機能がある。商品を仕入れる機能も重要であるが、仕入れた商品を店舗で売り込むことをサポートする機能も重要である。仕入れる機能と店舗をサポートする機能は専任化したほうがいいと考えている。

 商品部のバイヤーは仕入れ担当に専念してもらわないと仕入れ力が落ちてしまう。バイヤーが店舗のサポートに時間が割かれると仕入れ力が落ち、業績に響く。バイヤーが不振店の対応や競合対策、新店や改装などの店舗サポートに時間を取られて、商品の仕入れ力が低下し、業績が不振になるのはよくある話である。

 仕入れ力は小売業にとって生命線であるとも言える。だから仕入れ力は絶対に落としたくない。小売業は店舗での実行レベルが大切であることは説明した。仕入れ力を上げることと、店舗での実行度を上げることを両立させるために、スーパーバイザーの専任化が必要になってくるのである。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20091207/211247/
 リアル店舗とネット小売でも基本は同じなんだろうと思います。

 毎日商品の入荷があり、それを倉庫にいれ、店頭に陳列する。毎日販売したものの補充もする。そして営業開始、ピークの時間の顧客対応。終わったら整理。そして、日常茶飯事で顧客との間の大小のトラブルの発生と対応、出荷入荷でのトラブル対応。

 メーカーに比べると計画性を持って動かすのが結構難しいかもしれません。規模により会社全体として見た場合と、1店舗で見た場合で異なっては来ると思いますけど。現実に動かしてみると、消費者の急速なマインドの変化による売れ筋商品の変化への対応にも結構苦労しますし、単純なようで小売業は規模を追うと結構難しい商売だなと思わされます。

 リベート体質ですか。小売大手に資金を提供する商売をしていた時に色々聞きはしましたけど、確かにそうなんでしょう。中国ではその傾向はもっと強いかと思います。リアルではバイヤーとどれだけ友達になれるかが優秀な営業マンというか、販売側の社長の主要な仕事になっています。

 どこでも程度の差はあれ同じでしょうね。大久保社長の記事は何時も勉強になります。

 うーん。スーパーバイザー機能ですね。これって中国の小売であるのかな?外資系のメーカーですと、CFOとかコントローラー、ファイナンシャルアナリストアナリストという職が、数字の集計だけでなく事業分野別、アイテム別の売上や利益を見ながら会社トップや事業部門トップをサポートする機能を要求されていますので、小売で言うスーパーバイザー機能を果たしていることになりますね。日本でも原価企画とか、工場の経理とか製造業なら結構持っている機能ですけど、確かに小売を含むサービス産業はあまり重視していない分野かなと思います。そういう意味では、小売業の特殊性というよりは、日本のサービス産業の弱い面かなとも思います。
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