亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

NY金、1900ドル突破は意外に早い可能性  

2021年05月19日 23時06分01秒 | 金市場
本日は4月のFOMCの議事要旨発表日。以前はそう注目もされなかったそれぞれのFOMC間の中間に行われるイベントだが、2~3年前から注目度が一気に上がったのは、その内容に対する市場の反応が、時に過剰と思われるほど大きくなっていることによる。

そもそも米国の経済指標がここにきて市場予想を大きく離れ、時としてイレギュラーな結果が増えている。これは前年比で表されるデータの比較対象が、新型コロナウイルスの感染が急拡大した昨年3月以降のものとなっていることがある。経済が低迷していた時期との比較になることで、伸び率などが誇張されることになる。さらに、米国政府が経済のテコ入れ策として、また家計の救済策として打ち出した巨額の財政出動により、あるいは新型コロナ禍により経済が変化したことによって、これまでと異なる通常にはないデータのひずみが発生していることもあるだろう。
問題はそうした要素がどの程度影響しているのかが読みにくく、実態を把握しにくい点にある。中央銀行である米連邦準備理事会(FRB)は非常に難しい対応を迫られているのは、今に始まったわけではないか・・・・・・。

今夜というか現地時間の14時、つまり日本時間の明朝3時に議事要旨つまりそれぞれ参加者の発言内容が公表されるが、そのFOMCの話し合いの基礎資料になったのが4月の地区連銀経済報告書(ベージュブック)だった。表紙の色からこう呼ばれる。
このところ各種モノの値段が上がっており、インフレ懸念が高まっているのが米国だが、4月のベージュブックに注目すべき一節があった。「『時給20ドル(約2200円)を下回る職種は募集をかけてもなかなか埋まらない』との声が製造業から出ている」というのがそれだ。日本的感覚からは、ずいぶん高いという印象だが、それは20年来、物価も賃金上昇も頭打ちの環境に慣らされた日本からの目線といえる。このあたり実際のインフレ懸念はどの程度のものでFRBの捉え方といってもそれぞれで、インフレに対する意見の割れを探るデータということになる。

先ほど米国株式が取引を開始したが、売りが目立っている。昨日更新した音声のみバージョン(ゴールド・ボイス)で、株安に関連するリスクオフ機運の高まりが金市場に資金を移動させている可能性について語ったが、NY金が上値追いに転じている。1900ドル突破は意外に早い可能性が出てきた。暗号資産の代表格、ビットコイン・バブル崩壊の余波が急速に広がっている。起こるべくして起きている現象。


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